転職活動で複数社から内定がでたときは?|選考の進め方と後悔しない選び方をプロの転職エージェントが解説!

公開日

2023/03/15

変更日

2024/07/08

転職エージェント川原 祥平
転職エージェント川原 祥平

今回教えてくれた転職エージェント:川原 祥平

大学を卒業後、関西の広告代理店へ入社し、営業として求人媒体の広告販売や雑誌メディアの広告販売、SPツールの企画、提案、制作進行管理を4年ほど経験。クライアントは地元関西の企業や飲食店、美容室などがメインでほぼ新規での営業を経験。その後、クリーク・アンド・リバー社へ転職し、15年のキャリア。IT・Web、DX領域で活躍するクリエイターの転職支援、キャリアアドバイス支援などに従事。現在はマネージャーとしても活躍中。クリエイターからバイネームで仕事ができる、とれる(川原さんにお世話になりたい、川原に頼みたい)ようになるのが目標。

苦労して作り上げた応募書類が見事選考を突破して、面接ラッシュが始まった!
選考が上手く行き始めるタイミングって、何故か重なるんですよね……

実際にやってみるとわかるのですが、複数社の選考を同時並行で進めるのは思ったより大変。
忙殺され流されてしまわないよう、しっかりと軸を持って動く必要があります。

そこで、複数社で内定が出そうなときにやっておくべきこと、知っておいたほうがいいことについて、

・選考が進み始めたらまずやることは?
・選考を複数同時進行する上で大切なこと
・複数社受けている場合の内定承諾のタイミングって?

などの観点から、HIGH-FIVE転職エージェントの川原に教えてもらいました!

転職先の決め手は?複数内定が出たときの選び方

最後まで選考を受けきり内定が出揃ったら、最低でも一晩置く・できれば土日を挟むなどして、じっくり考えましょう。思考を整理するために、以下を紙に書き出すことをおすすめします。

①転職の目的・自分が転職したい背景を見つめなおす

前職の何がネックで、何を叶えたくて転職をするのか?初期の段階に戻って改めて書き出してみましょう。これが転職の軸になります。

②内定先のGOODBADを整理する

①で棚卸しした軸に沿って、内定先企業の魅力と懸念点を整理しましょう。例えば通勤時間がネックで転職を考えていたならば、A社は通勤時間はほぼ変わらないが年収が高い、逆にB社はフルリモート可能だが年収は少し微妙……といったイメージです。

この場合、年収をとったとして、後悔せずに通勤し続けられるか?提示された年収が微妙でも、フルリモートのB社で自分の時間を作って勉強し、キャリアアップや副業でカバーはできないか?というふうに考えていきます(もちろん、「これだけ年収アップするなら通勤でも問題ない!」と心から思えるならA社でも良いでしょう)。

また年収比較に関しても、見た目の額で判断するのは尚早です。例えば年収500万円と520万円で打診された場合、単純比較だと当然520万円の方が良く見えますよね。でもここで500万円のほうの会社に1日1000円分のランチ補助がついていた場合はどうでしょう?月あたりの営業日が20日として月2万円、年間24万円分の補助が出るということは、年収524万円に相当するという考え方もあるわけです。

上記はわかりやすい例ですが、自己啓発費用として書籍代やセミナー受講代が出るなど、企業によって補助金が出る制度はさまざまです。細かいかもしれませんが福利厚生などの部分までしっかり見ておくと、迷ったときに判断しやすいと思います。

このように、それぞれの企業に強み・弱みの特徴がありますが、それらは相対的なものなので比較して初めてわかるものです。これらを分析するためにも、比較対象として23社内定があったほうがより良いことがわかりますよね。

企業の選び方についてはこちらの記事(『自分が本当に活躍できる会社』ってどんな会社?)でも解説していますので、迷った際はぜひ参考にしてみてください。

項目 詳細
転職の目的・背景を見つめなおす 前職の何がネックで、何を叶えたくて転職をするのかを改めて書き出し、転職の軸を確認する。
内定先のGOOD/BADを整理する 転職の軸に沿って、内定先企業の魅力と懸念点を整理。例えば、通勤時間と年収、フルリモート可能かなどを比較検討する。
年収の実際の価値を考慮する 見た目の年収だけでなく、福利厚生や補助金制度(例:ランチ補助、自己啓発費用など)を考慮し、実際の価値を比較する。
企業の強み・弱みの比較 内定先企業の強み・弱みを比較し、相対的にどちらが良いかを分析。比較対象として2〜3社内定があると判断しやすい。
最終決定 最低でも一晩置き、じっくり考えて最終決定を行う。迷った際は関連する参考記事も活用。

転職先を決めた後の内定辞退の手順

転職活動の末に複数の内定をもらった場合、最終的にどの企業に入社するかを決める必要があります。しかし、選ばなかった企業には内定辞退の連絡をしなければなりません。ここでは、内定辞退の手順とその際の注意点について解説します。

内定の返事はいつまで保留できる?

内定を受けた後、返事を保留したい場合があります。一般的には、企業は内定の返事を待つ期間を設けており、通常は1〜2週間程度が多いです。ただし、これは企業によって異なるため、具体的な期限については内定通知時に確認することが重要です。

  1. 期限を確認する: 内定通知を受け取った際に、企業から提示される返事の期限を確認します。明記されていない場合は、直接問い合わせて確認しましょう。

  2. 保留の理由を伝える: 返事を保留したい理由を企業に伝えることも必要です。例えば、「他社の選考結果を待っている」や「家族と相談したい」などの正直な理由を説明しましょう。

  3. 期限内に決断する: 企業に迷惑をかけないためにも、できるだけ早めに決断することが大切です。期限内に返事をすることで、企業との信頼関係を保つことができます。

内定辞退の連絡のポイント

内定辞退の連絡は、できるだけ丁寧かつ迅速に行うことが重要です。以下のポイントを押さえて、適切に対応しましょう。

  1. 早めに連絡する: 内定を辞退することを決めたら、できるだけ早く企業に連絡しましょう。これにより、企業が他の候補者を再検討する時間を確保できます。

  2. 連絡方法を選ぶ: 内定辞退の連絡は、基本的には電話で行うのがマナーです。電話で直接担当者に伝え、その後確認のためにメールでも連絡するのが良いでしょう。

  3. 感謝の意を伝える: 連絡の際には、まず企業からの内定に対する感謝の意を伝えましょう。「貴重な機会をいただき、ありがとうございました」といった感謝の言葉を忘れずに伝えます。

  4. 理由を簡潔に説明する: 辞退の理由を簡潔に伝えます。例えば、「他の企業からの内定を受けることにしました」や「家庭の事情で別の道を選ぶことにしました」など、具体的で簡潔な理由を述べます。

  5. 最後に感謝の意を再度伝える: 最後にもう一度、感謝の意を伝えます。「今後の貴社のご発展をお祈りしております」といった言葉で締めくくりましょう。

内定辞退は、企業にとっても応募者にとっても重要な手続きです。丁寧で誠実な対応を心掛けることで、今後の転職活動やキャリアにおいても良い印象を保つことができます。

複数社の面接を受ける時の選考の進め方

複数社の面接を受けるときは選考の足並みを揃えよう

複数社で選考が進みだしたとき、まず大切なのは「選考スケジュール管理」の徹底です。特に求人サイト等から自己応募している場合など、自分がどこに応募したのかすらあまり把握できていない方もいます。Excel等で可視化し、管理するようにしておくと便利です。

選考が進んでいる企業を把握できたら、なるべく進捗を揃えましょう。理由は、比較検討する余裕を残しておくため。内定フェーズに進むと、スケジュールによっては承諾までの期限を切られてしまい、冷静な判断がしづらくなってしまう可能性があります。慌てて決めなければならない状況を避けるためにも、内定が出そうな時期はできるだけ揃えられるようにしましょう。転職エージェント経由で応募している場合は、担当エージェントが「選考に時間がかかる企業」「一発で内定がでる企業」など特性を把握しているので、内定時期が揃うよう上手く調整してくれるはずです。打診された時間外での面接も交渉可能なことが多いので、気軽に相談してみてください。

スケジュールを管理しておきたいもう1つの理由は、「事前準備の時間」を確保するためです。転職活動をしている側からするとたくさんある中の1社でも、企業からすると大切な候補者のひとり。面接を無駄な時間にしないためにも、応募した求人内容の再確認や関連インタビューを読み込むなどして、きちんと1社1社面接対策しましょう。

逆にやらないほうが良いのは、志望順位を考えすぎること。自分の中でなんとなく持っておくことはもちろん構いませんが、現時点で志望順位が低いからといって対応がおろそかになってしまうのは、とてももったいないことです。事前準備の段階で抱いていた印象と面接での印象が全然違い、面接後に志望度が大きく上がったというのはリアルに「あるある」で、実際にそういう転職希望者の方を何人も見てきています。内定が出揃うまではある程度柔軟にとらえておいたほうが、結果的に良いと思います。

参考:Webクリエイターの中途採用「面接」で意識しておくべきポイント

内定をもらっても、他社の選考を受けきってから内定承諾するか考える

気を張って面接を受け続ける中、やっと最初の内定が出た。嬉しくてついそこに決めたくなってしまう気持ち、とてもよくわかります。それでも、最後まで選考を受けきってから考えることをおすすめします。先述のように、面接で話をした結果気持ちが変わることは、本当によくあることだからです。

一定の期限内であれば、内定先に承諾を待ってもらうことによるマイナスは一切ありません。不要に承諾を迫ってくる転職エージェントもいますが、「絶対に〇月から働きたい」という事情がある、もしくは今回の選考においてよほどの個社事情がない限り、気にする必要はありません。転職するのは自分なので、迷いがないようじっくり考えるべきです。そのためには、判断材料は多い方が絶対に良いはずなのです。
例え最初に内定がでたのが第一志望の企業だったとしても、最後の選考まで受けきってそれでも気持ちが変わらなければ「やっぱり自分にはここなんだ!」と改めて意思を堅くできますし、他社の結果を聞かずに承諾して万が一入社後に「なんか違うな……」と感じてしまった場合、「あのとき他社を選んでいたほうが良かったのでは」という後悔が生まれてしまいます。選考時点で見送られていれば諦めもつきますが、選考を途中辞退した後にこのような後悔が生まれてしまうと、今の環境でつまづいたときに頑張り続けるモチベーションの妨げになる可能性があります。

なお「辞退するのが申し訳ないので、第一志望以外は面接やめておきます……」という方がいるのですが、第二志望・第三志望として最後まで選考を受けても全く問題ありません。転職エージェントはもちろん、企業側も応募者が複数受けていることは当然承知の上なので、他社と比較検討されることには慣れています。企業も応募者と同じように最終面接までやりきって辞退されたのなら致し方ないと考えますし、途中辞退された場合は「もっとこういう点で(条件UPなど)頑張れたのに」と思っていたかもしれません。そういった意味でも、最後まで選考を受け切らずに1社に決めてしまうのはもったいないことがわかります。

ちなみに内定辞退=悪ではないので必要以上に気にすることはないのですが、断るのが苦手な人ほど転職エージェントを経由しておくと安心かもしれませんね。辞退など直接言いづらいことも代わりに伝えてくれますし、選考の過程でも期待値調整をしてくれるので、応募先の企業は自社がいま応募者にどう思われているのか既に知っています。それに合わせて、懸念されている点を予めカバーしようと動いてくれることもあります。 

転職エージェントと相談しながら面接を進める

転職エージェントは、複数社の選考を進める際に非常に有効なサポートを提供してくれます。まず、エージェントのサポートを活用することで、面接日程の調整や企業とのコミュニケーションを代行してもらえます。これにより、選考スケジュールの管理が容易になり、効率的に転職活動を進めることができます。 また、エージェントは企業ごとの選考ポイントや面接対策を提供してくれるため、各企業の選考に備えてアドバイスを活用することができます。これにより、企業ごとの特性や求められるスキルに対して準備を整えることができます。 さらに、内定をもらった際の条件交渉や他社の選考終了までの猶予をお願いする際には、エージェントのサポートを受けることが有効です。プロの交渉力を借りることで、より良い条件での転職が可能になります。 これらのポイントを踏まえて、転職エージェントと密に連携しながら複数社の選考を進めることで、転職活動を成功させることができます。

転職活動ではすぐに内定承諾せず、全ての選考を受けきろう 

複数社同時に選考を受けていると、現職の仕事も相まってどうしても忙殺されてしまいがち。「もう一番最初に内定でたとこでいいかも~~~」なんて思いが脳裏をよぎってしまうときの気持ち、編集部にも覚えがあります……。ですが今回の川原の解説を聞いて、次の環境でモチベーションを高く・長く保って活躍するためにも「最後まで受けきって自分で選ぶ」ことが大切なのだと編集部も思いを新たにしました!

面接ラッシュが始まりそうなあなたも、ラッシュ真っただ中で揺らいでいるあなたも、ぜひ本記事を参考に納得いく転職活動にしてくださいね。

業界情報

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この記事を書いた人

HIGH-FIVE編集部
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