「僕、40歳になっても仕事ありますか?」―なぜ、クリエイターに特化した転職支援を行うのか

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はじめに

HIGH-FIVEを運営する「クリーク・アンド・リバー社(以下C&R社)」は、1990年の設立以来、クリエイターの皆さまのキャリア形成のお手伝いをしています。人材紹介・派遣だけではなく、クリエイター一人ひとりのニーズに合わせてさまざまなキャリアパスをご提案し、信頼をいただいてきました。

今回HIGH-FIVEでは、当社の執行役員である渡辺和宏にインタビューを実施。当社ならではのクリエイターファーストの文化や、現在力を入れているエージェントのタレント化などについて話を聞くなかで、長年の業界キャリアの原体験とも言えるエピソードも飛び出しました。

C&R社が大切にする「クリエイターファースト」の文化

クリエイター・エージェンシ―・グループ執行役員 渡辺

(プロフィール)
渡辺和宏
2002年株式会社クリーク・アンド・リバー社入社。映像領域で活躍する派遣就業クリエイター担当、また制作受託の営業に従事。その後2005年から人材紹介事業を担当。クリエイター・エージェンシ―・グループ執行役員。

――まずはC&R社のクリエイター向け人材紹介事業(以下CAG=クリエイター・エージェンシー・グループ)について、ご説明ください。

渡辺我々CAGは、クリエイターに特化した人材紹介を行っています。特徴としては、クリエイター一人ひとりのニーズに合わせて、継続的なキャリア相談を行っていること。クライアント企業の求人を紹介するだけでなく、例えば「未経験の業務にチャレンジされるなら、派遣で経験を積んでから正社員を目指してはいかがですか」「フリーランスとして活動するなら当社で案件を紹介しますね」「当社の制作スタジオで社員として働きませんか?」など、さまざまなキャリアの選択肢を提示することで、クリエイターのキャリア構築を支援します。

このような提案ができるのは、当社が人材紹介だけではないサービスラインを持っているからです。当社のビジョンでもある「プロフェッショナルの生涯価値の向上」の実現のために、エージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開しています

大切なのはプロフェッショナルを支援することであり、人材紹介は、その手段の1つという位置づけです。

――C&R社が大切にしている文化(カルチャー)については、いかがですか。

渡辺人材紹介ビジネスでは、人を探している「企業」と職を探している「クリエイター」の間に立つことが求められます。しかし、両者の利害はしばしば一致しません。そのような際に、当社は「クリエイターに寄り添って企業と交渉する」文化があります。

このようなクリエイターファーストの文化があるのは、創業者の井川が元々クリエイターであり、クリエイターが働きやすい社会を作ろうと起業したことが、当社のDNAとして今でも根付いているからです。設立してしばらくの間、当社はテレビ(映像)業界向けに人材派遣をしていました。しかし当時の業界には、契約書なしに口約束で身を粉にして働くクリエイターが、たくさんいたのです。その環境を変え、クリエイターが働きやすく、正当な評価を得られる社会を作ろうという意識を強く持っています。

これからの転職エージェントには「人間としての魅力」が求められる

――CAGでは、「転職・就活エージェントのタレント化」に力を入れていると聞きます。詳細を伺えますか。

渡辺「転職・就活エージェントのタレント化」は、一人ひとりのエージェントの担当領域やバックグラウンド、キャラクターをオープンにすることで、クリエイターが相談したいエージェントを指名できるようにする取り組みです。エージェント紹介ページを実際に見ていただくとわかりますが、それぞれのエージェントの個性が色濃く出ています。

クリエイター・エージェンシ―・グループ執行役員 渡辺

――「転職エージェントのタレント化」に取り組むに至った背景をお聞きできますか。

渡辺私の考えとして、これから人材紹介市場にも「個」の時代がやって来ると予測しています。そもそも人材紹介とは、本来かなり属人的な仕組み。エージェントによって魅力(熱量や知識、スキルなど)は千差万別だからです。また、人と人とのマッチングですので、相性があることも忘れてはいけません。

しかし人材紹介会社に登録する時点では、自分に合うエージェントが担当してくれるかはわかりませんよね。自分の人生を決める転職において、運に頼るのはあまりにもリスキーです。このような既存の仕組みの限界を打破するためにも、タレント化の取り組みを始めました。

もし一度、当社のエージェントを利用し満足いただければ、数年後にまた同じエージェントを、再度ご指名いただけることもあるかと思います。このように、一人ひとりのエージェントに「ファン」がつくことによって、効果的に支援者様のサービス満足度を上げられるはず。もちろん、指名制度におけるトラブルからエージェントを守るために、一定のフィルタリングはあります。

――タレント化したエージェントは、その先にどのようなキャリアが考えられますか?

渡辺指名でご相談を受けられるようになれば、エージェントとしての市場価値が高まっていくでしょう。それはもちろん、支援者様へのサポートという形で、還元できるはずです。一方で、それだけ優秀なエージェントであれば、自身もいつでも転職・独立できるはず。「それでもC&R社で働き続けたい」と思ってもらわなければなりませんし、そのための組織作りを進めていくのが、自分の役割だと感じています。

――この「HIGH-FIVE」を設立したことにも、タレント化の取り組みが関連していますか?

渡辺そうですね。私は、当社の提供するサービスに自信を持っています。しかし、業界におけるクリエイターからの認知・認識についてはまだまだ不十分です。もちろん広告に多額の予算をかければ、一時的には効果があるかもしれません。ただ、当社の競合企業は売上の規模が桁違いに大きく、同じフィールドで戦っても勝ち目がないと思っています。そこで当社が戦える領域について考えたところ、「個」の力を活用することが効果的だと判断しました。

「個」に力をつけたら、それを発信する場が必要です。そこでHIGH-FIVEでは、エージェントの価値観や考え方、スタンスなどをインタビューで掘り下げ、公開していきます。これにより、C&R社の社名以上に、個々のエージェントの名前を知っていただければと思っています。

その他にも、クリエイターの方々に役立つ制作ツールの情報やノウハウを記事として発信していくことで、恒常的なサポートを行えたらと考えているんです。「このサイトに来れば役に立つ情報がある」という状態にし、転職のときだけではなく、日常的に閲覧していただける場にしていきたいですね。

<参考記事>
【イベントレポート】デザイナー就活講座#1「ポートフォリオとは何か?編」
エージェントがUnity触ってみた #1.ご挨拶

「40歳になっても仕事ありますか?」という質問に、今なら答えられる

――C&R社が企業と人材の間に入ることにより生まれる価値(以下介在価値)は何ですか。

渡辺まず、クリエイターの皆さまへの「介在価値」は3つあります。

1つめは「フィルタリングできない情報の提供」です。Web上の転職サイトでは、さまざまな条件で求人をフィルタリングできますよね。たとえば、給料や勤務地、残業時間などが代表的です。しかし実際の転職活動は、こういったハードデータだけでは計りきれない要素もたくさんあります。当社は企業様の文化や一緒に働く方々の人柄、入社後のキャリアパスなどについて膨大な情報を持っています。

このような情報を手に入れることができるのは、当社が日本最大級のクリエイティブスタジオを持っていて、さまざまな企業様から受託・共同制作を請け負っていたり、そこで経験を積んだクリエイターを派遣したりして、企業様の現場責任者と深い信頼関係を築いているからです。求人票に載らないような生の情報や、現場のリアルな雰囲気など、カウンセリングを通して支援者様にお伝えできます。

2つめは「選考に関する知見の共有」です。当社の持つ知見をもとに、企業ごとに書類・面接対策のアドバイスができます。当社は、長年クリエイター業界に特化して人材紹介を行っています。そのため、他社と比べても、情報の量と質は秀でていると自負しています。 例えば、クリエイターが転職する際重要となる「ポートフォリオ」についても添削・制作支援を行っています。ポートフォリオの審査には、現場のディレクターや実際に制作に携わっている方が入ることも少なくありません。当社の場合、先述の通り現場担当者ともつながりがあり、彼らが求めるポイントを熟知しています。そのため、企業ごとのニーズを抑えた、”選考を通過しやすいポートフォリオ”の制作を支援できます。

3つめは「入社後の継続的なご支援」です。当社は、クリエイター業界においてさまざまな企業・人材とコネクションがあります。したがって、当社のネットワークを利用することで、入社後も継続的にご支援することができます。たとえば、取材対象を探しているライターの方に取材候補をお渡ししたり、社内リソース不足でクリエイターを探しているプロデューサーの方に人材を紹介・派遣したりと、さまざまなご要望に柔軟に対応できるでしょう。入社後はビジネスパートナーとして当社を活用していただき、一生涯お付き合いをしたいと考えています。

クリエイター・エージェンシ―・グループ執行役員 渡辺

――企業(クライアント)への価値については、いかがですか。

渡辺まず前提として、「人材紹介会社」というよりも「事業パートナー」として、クライアントと関係を築きたいという想いがあります。つまり「クライアントの課題解決」を支援することが、当社が成すべき介在価値の最大化だという認識です。

採用や外注などによって、毎期の採用計画達成をお手伝いすることも介在価値と言えますが、それは一つのマイルストーンに過ぎません。理想的には、当社がご紹介した方が活躍され、クライアント企業の課題解決に貢献することを、目指しています。

現時点では、すべてのクライアントにおいてこのような「介在価値の最大化」を実現できているとは言えません。より多くの企業において、当社がご紹介した方が活躍され、社内外で高く評価されること、並びに企業の利益向上に貢献いただけるよう、我々もサービスの質向上に努めて参ります。

――最後に、渡辺さんがC&R社で成し遂げたいことを教えてください。

渡辺クリエイターの皆様を支援するために、手段を限定せず様々なチャレンジをしたいと思っています。本当は効率や収益面だけを考えれば、紹介事業に絞った方が良いのでしょう。しかし、自社が稼げれば何でもいいという風には私は思いません。このような思考に至った背景を説明するために、少し昔話をさせてください。

私が入社した時点では、まだ当社は人材紹介を専門に担当する部署はなく、私はテレビ局への派遣業務をしていました。そんな時、某人気テレビ番組の制作をしていたクリエイターから、このような相談を受けたんです。「僕、40歳になっても仕事ありますか?」。情けないことに私は、それに対して明確に答えることができませんでした。

クリエイター・エージェンシ―・グループ執行役員 渡辺

今なら社内のスタジオで活躍いただく選択肢もありますが、当時は40歳を超えてくると、派遣の求人はかなり少なくなるというのが実情でした。もちろん、フリーランスとして活躍できる人もいますが、決して簡単な道ではありません。当時Web/広告業界では人材紹介サービスの部署があったのですが、映像、ゲームの分野はありませんでした。私は、彼のようなクリエイターのキャリアを継続的に支援するために「映像・ゲームの分野でも人材紹介をやらせてほしい」と会社に頼みました。これが、私がクリエイターの人材紹介に携わることになった原体験です。

当時の番組制作の彼は今、当社からの紹介で某テレビ局のグループ会社の社員として活躍しています。私はエージェントとして、どうにかそこまでの道を支援させていただくことができました。キャリア支援の形は、1つではありません。様々な領域で豊富な事例ノウハウを持つ当社であればクリエイターを継続的にサポートできる自信がありますし、当社のエージェント業務は、非常に意義のある仕事だと自負しています。

当社の人材紹介サービスでは、さまざまなクリエイターのニーズに寄り添って、自分に合ったエージェントのカウンセリングを受けることができます。これからも、クリエイターの生涯価値向上に尽力していきたいと思います。

取材・文
師田賢人
撮影 安井信介
編集 プレスラボ

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