【イベントレポート&特別インタビュー】株式会社コンセントと考える「変化する時代に必要とされるウェブディレクターの仕事」とは?

公開日:2024/10/04

変更日:2024/10/09

2024年9月5日、株式会社コンセントのウェブディレクター 佐藤 いづみさん、岩澤 良亮さんをお迎えし、ディレクターそれぞれの多様な解釈やスタイルを紐解くトークセッションウェビナー【Director’s talking】シリーズの第2回が行われました。

日本のインターネット創生期からウェブサイトの情報設計に携わり、調査分析・戦略設計部分からコミットするコンセント社。その最前線で活躍するおふたりが考える「これからのウェブディレクターに求められる要素」とは?

本記事では当日の内容をぎゅっと凝縮したダイジェストに加え、2023年にご転職されたばかりの岩澤さんから見たコンセントと今後のウェブディレクターについて、特別インタビューをお届けします。

コンセントの仕事で知った「クライアントと一緒に答えにたどり着く」感覚

ウェビナーに登壇されたコンセント岩澤さんと佐藤さん
岩澤さん
「私はコンセントに中途入社して1年半ほどのキャリアです。前職は制作系のプロダクションで、会社案内やパンフレット等の紙媒体、コーポレートサイト、採用サイトなどを作っていました。コンセントでも前職と近しい畑で動きつつ、サイト制作にとどまらない色々な取り組みに参加しています」

佐藤さん
「私はコンセントに入って11年目です。前職は広告制作系の会社で、映像やウェブサイトを制作するプロダクションマネージャーとしてお仕事をしていました。コンセントではコーポレートサイトや商品ブランドサイトの制作、UX設計、コンテンツ設計や効果検証など守備範囲がかなり広がりましたが、基本的にクライアントの支援を行うというのが柱になっています」

ものづくりのプロセスを幅広く適用させ、クライアント接点の構築~メディア・コンテンツ・クリエイティブ開発~顧客体験の構築支援、組織開発支援、さらにはデザイン経営にまで携わる同社。ウェブディレクターの管掌領域としても、大手ナショナルクライアントのコーポレートサイトからコンパクトなマイクロサイトに至るまで幅広く担当されています。

お話はウェブディレクターの仕事内容に移り、中途入社2年目である岩澤さんのフレッシュなエピソードにフィーチャー。前職の制作会社における岩澤さんのロールは、クライアント折衝から制作ディレクションまでを担う営業を兼ねたディレクターでした。
コンセント岩澤さんが前職時代感じていたこと
つくるって楽しい!というポジティブな感情はあったものの、「もっと長期的にいろんな観点でクライアントをお手伝いしたい」そして「自らの幅を広げたい」という思いからコンセントへ転職することを決めたそうです。

岩澤さん
「コンセントのことは元々認識していて、当時から“体系的な学びができる”“ノウハウそのものを生み出している”という印象を持っていたので、スキルアップできる環境やプロジェクトの幅広さなどに魅力を感じて入社を決めました」
コンセント岩澤さんが入社して感じたこと
転職後は、関わるメンバーが増えるに伴いプロジェクト全体の管理業務が増えたという岩澤さん。また、調査・レポーティング系のお仕事や、ウェブサイトを作るにとどまらないUXの検討といったプロジェクトも担当されているとのこと。

岩澤さん
「とある大手企業の新規サービスのサイト制作を担当した際、市場がまだ成熟していないくらいの新しいサービスだったことから、“そもそもこのサービスでどういう提供価値を出すべきか”を模索するところからプロジェクトに携わらせていただけたのは、とても良い経験でした。クライアントとワークショップを行い、目指すべき世界観を一緒に模索した上でサイト制作を進めていくことができました」

佐藤さん
「岩澤さんはこのプロジェクトをきっかけに “こういうアプローチもあるんだ!”と思ったんじゃないかなと、当時横から見て感じていました。きっと今まで岩澤さんがやってきたような、『これを作ってください』『わかりました!』という仕事とは違ったんじゃないかなって」

岩澤さん
「まさにそうでしたね。こちらで答えを出すだけでなく、一緒に答えにたどり着いていくという感覚がすごく新鮮で楽しかったことを憶えています」

コンセントとして取り組んでいるディレクション

コンセント社では、事業戦略レベルの課題解決からUIのインタラクション検討に至るまで、さまざまなデザインプロセスを実施しているのが特徴です。

佐藤さん
「ものを作るとき、皆さんサービス戦略-アクティビティデザイン-インタラクションデザインを繋げて考えていると思いますが、それでもお仕事として実際に対価をいただくのはインタラクションデザインに対してのみ……といったケースって、割と多いんじゃないでしょうか。
3つのスケール&領域のデザインプロセス
でもここはもっとちゃんと明示的に、アクティビティデザインもプロジェクトのプロセスに含めて良いと考えています。そこの価値をしっかりクライアントに認めていただくために、もっとアピールしても良いのでは?と」

また、制作の手前であるサービス・事業戦略の策定部分からも支援できるところも、同社の特徴の1つ。

佐藤さん
クライアントが想定している要件や要望がすでにあっても、そのまま作ることはしないんです。本質的な背景を理解し、根拠をもって最善を提案する。私がコンセントに入社したばかりの頃は、提案内容や設計について『何でそうするの?』『何でこうなの?』と周りからいちいち聞かれてすごく嫌でしたが(笑)、何で?と聞かれてすぐに説明できないということは、その根拠を考えられていないということなんですよね」
ウェブサイト制作での具体実施タスク例
コンセント社では、調査・分析も一連のプロジェクトフローとして行います。実は(サイトそのものではなく)運営方法に課題があった等、しっかりと時間をとって深くヒアリングしないと理解・把握ができないことがあるからです。アクセスログのレポート提出や運用改善提案も継続して行っていくため、クライアントとのお付き合いは自然と長くなる傾向があるとのことでした。

ウェビナー限定の特別スライド(!)を挟みながら、いよいよ最終パートである参加者からのQ&Aコーナーへ。こちらも参加できた方の特権ということで詳細は伏せさせていただきますが、コンセント社で運用されているデザイン人材スキルマップ「技術マトリクス」についての質問がありましたので、特別に一部ご紹介します。
コンセントで使用されているスキルマップ_技術マトリクス
>>コンセントのスキルマップ「技術マトリクス」2023年度版

コンセント社で主に人材育成ツールとして運用されている技術マトリクスは、30以上の技術項目に対してそれぞれ5段階の水準があり、職種ごとに必要な技術項目が定義されています。

岩澤さんによると、コンセントのウェブディレクターが技術領域で今期特に取り組んでいる項目は「プロジェクトマネジメント」「プロジェクトプランニング」「情報設計」とのこと。幅広い領域を担当するウェブディレクターの仕事をコンセント社はどう評価しているのか、参加者の皆さんも気になっていたようですね。

最後に、本ウェビナーのテーマでもある「変化する時代に必要なウェブディレクターの要素とは?」についてのおふたりの見解で閉会となりました。

岩澤さん
「ちょっととんち的な回答になるかもしれないですが……やはり時代が変化をするからには、こちらも変化をしなきゃいけないと思います。“この領域は自分の仕事じゃない”といった感覚を持たずに自分ゴト化をして、色んなことに挑戦していくことが必要になるのかなと思っています」
佐藤さん
“クライアントに価値を提供する”という観点をもって仕事に臨むことです。常にその観点があれば、クライアントと一緒に変わり続けていくこともできるのではないかと思います」

【本記事限定!岩澤さん特別インタビュー】変化する時代に必要なウェブディレクターの要素とは?

―――――ご登壇有難うございました!HIGH-FIVEの読者向けに、コンセントのウェブディレクターについてもう少しお伺いさせてください。コンセントでは職種を問わず「全員がデザイナー」という意識を持っておられるそうですが、前職が営業を兼ねたディレクターだった岩澤さんは、入社にあたって不安はありませんでしたか?

岩澤さん
デザイナーといっても、クリエイティブ文脈としてのデザインではなくビジネス文脈における広義のデザインであることは理解していたので、不安はありませんでしたね。むしろ、自分が関与できる領域がどれぐらい広がるのかという期待がありました。

―――――確かに、今のお仕事がとても充実されていることがウェビナーの様子からも伝わってきました。その中で岩澤さんが「コンセントらしいなあ」と感じたエピソードはありますか?

岩澤さん
私がコンセントらしいと感じるのは、ウェビナーでのお話にもあったように「クライアントと一緒に答えにたどり着く」ところです。

印象的だったエピソードをお話しすると、私はコンセントに入社して初めて「バウンダリーオブジェクト」という今まで聞いたこともなかった概念と出会いました。

バウンダリーオブジェクトとは「境界をつなぐためのもの」という意味をもつ概念のことで、例えばペルソナやカスタマージャーニーマップ(CJM)などがそれにあたります。これらをもとに、プロジェクトに携わるさまざまな立場の人たちをつなぐことができます。
>>多様な人々が共に考える「バウンダリーオブジェクト」 チームの相互理解を高めるための何か

コンセントでは制作側の私たちだけで帰結に至るのではなく、ペルソナやCJMといった中間成果物を作って可視化を行い、クライアントを含めた「みんなで」ディスカッションすることで一緒に答えにたどり着きます。そうすることでクライアントの納得感も高まるし、論理的な帰結になりやすいように思います。

今振り返ってみると、制作側の「こうしたら良いと思う」「ゆえにこうなる」という思考回路が可視化されていなかったために、クライアントからすると「何故こうなったのか」がわかりにくい部分も過去にはあったように思います。

―――――改めて「クライアントも含めたみんなで」というのが御社のキーワードになっているのですね……!それでは最後に、岩澤さんはウェブディレクターの仕事においてこの先どのような変化が想定されるとお考えでしょうか?

岩澤さん
どの時代でも、プロジェクトにおいてどんな成果が必要で、そのためには何が必要なのかを考えること自体は変わらないと思っています。そして、極端に言うとそれ以外の全てが変わりうるかもしれないと考えています。

技術の発展によりウェブ媒体の性質が大きく変わることもあるでしょうし、SGE(生成AIによる検索体験)やSNSでの情報収集が主になる世代を鑑みると、そもそもウェブがクライアントの解決策にならないというシーンも出てくるかもしれません。

だからこそ、「既存の手段だけで解決しようとせず、何が必要か考える」「どんなユーザーがいるのか、そのユーザーはどんな情報を求めているのかを考え、適切なコンテンツを適切なルートで届ける」という基本を大切にしたいと思っています。

―――――有難うございました!

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