作り手が中心となり、すべてに責任を持つ。“とことん考える”クリエイティブ集団nudo inc.が大手クライアントに愛される理由

公開日:2024/08/26

変更日:2024/08/23

スペイン語で「結び目」の意味を持つnudo inc.(以下、nudo)は、クリエイター自身が戦略から制作、定着まで手掛けるクリエイティブファームです。本質的な課題解決を実現するそのクリエイティブに惚れ込む企業は多く、誰もが知るナショナルクライアントや大手広告代理店からのオファーが絶えません。

デザインクオリティを保つため少数精鋭スタイルを貫く同社ですが、「日々来る依頼を受けるだけで手一杯」ということで、この度デザイナーとプロジェクトマネージャー(以下、PM)の採用をオープン。今回はnudoのお仕事や特徴について、代表の高橋さんに詳しくお話を伺いました。

■PROFILE(敬称略)
nudo高橋さんプロフィール株式会社ヌード 代表/アートディレクター 高橋大介
大学卒業後、ジェリーフィッシュに入社。その後、日本デザインセンター、ビジネス・アーキテクツを経て、2011年に nudo inc.を設立。New York Festivals、 Webby Awards、 TIAA、広告電通賞(最優秀賞)、グッドデザイン賞などを受賞している。

実際に手を動かす人間が全てを考えるのが最も効率が良い

―――――まず会社概要について教えてください。

高橋さん
弊社の特徴を理解していただく為にも、まずはじめに、会社立ち上げの経緯からお話しますね。

僕が前職のデザイン会社を辞める1年くらい前から、当時の代表や仲間たちと「会社の課題と解決方法」についてよく話をしていました。僕には、マネージャーとして、現場と経営陣の間の立場から「こう変えるべきなのでは」という考えがあったのですが、いつしか自分でその手法を使って会社を作りたいと思うようになりました。

僕がその頃から提案していた手法というのが、デザイナーやコピーライター自身が案件の上流から定着までの全てにおいて責任を負うということです。実際に手を動かす人間が、お金・スケジュール・戦略・企画も含め、全てを考えるのが最も効率が良い。しかも、本人のモチベーションも高まるし、結果良いものができると、良いこと尽くめなんです。

nudoはそういう経緯で作った会社なので、デザイナーがプロジェクトマネジメントまで行います。自分でスケジュールも引くし見積もりも作るので、作り手が直接クライアントと話せない仕事は基本的に受けません。

デザインに注力したかったのに……と言われることもありますが(笑)、「なぜクライアントがこれを求めているのか」という”本質”は、直接クライアントと話さない限りわからない。複雑な座組になると、作り手に話が届くころには下手すると「○月○日までになんとか納品して!」くらいの内容しか残っていないこともあり得ます(笑)。

大きい組織の場合だと、そこからさらに窓口と制作が対立してしまうこともあったり。でも、僕たちはクリエイターを全ての中心にすることによって、そういった不要な板挟みにあうことはありません。

―――――なるほど……!ということは、御社には営業はいらっしゃらないのですか?

高橋さん
営業はいないです。組織を大きくする意識がなかったので、営業がいなくても、設立から13年間来る仕事に日々向き合うので手一杯の状態です。本質を深く掘り下げるほどクライアントも見えていない課題が炙りだされてくるもので、本当は僕たちが自主提案していくかたちが理想的なのですが、リソースにも限界があるので、今は依頼が来た範囲の中でより良いものを提供するという形になっています。

―――――自主提案のリソースを生むために分業化するという考え方もあると思うのですが、クリエイター自身がプロジェクトマネジメントするのが御社の特徴ですよね。そういった課題に関して、今後どう切り抜けていこうと考えていらっしゃいますか?

高橋さん
それを言うと、ノーアイディアです(笑)。ただ、僕らが大切にしているのは「本質」です。特に新規のクライアントだと「いやいや、こっちがこれをやってくれって言ってるんだから(依頼通りやってくれればいいのに)……」という空気になることもありますが、そういった場合は必ず1回はしっかり本質に立ち戻って「そもそも」という話をします。今お付き合いがあるのは、その「そもそも」を言ってもらう方が気持ち良いと思ってくださるクライアントがほとんどです。
大切にしていることを語るnudo高橋さん
次に大切にしているのが、「すぐに手を動かすこと」です。コストになるので受注が決まるまで動かさないという会社が多いかと思いますが、僕は「作ってみないとわからない」という方針です。作って初めて議論すべき問題が見えてくるので、できるだけ早く手を動かします。そして思慮深く丁寧に、本質をしっかり見極めながらデザインスタディのパターンをたくさん作って、その中から1番良いものを選ぶということを常に意識しています。

―――――御社の場合、手を動かした後に「やっぱり今回は発注なしで」とはなることはないのですか……?

高橋さん
あります(笑)。それでも、やっぱり作ってしまった方が良いと考えています。僕たちが手を動かすことでクライアントのやりたいことが見えてくるし、それで良いと考えています。

ちょうど先週も、とある大手のクライアントが僕らの担当している仕事とは別の業務でトラブルがあって、そちらにかかりきりになってしまったことがありました。先方は「指示ができないからストップするしかない」と仰ったのですが、 そもそも僕らの仕事もトラブルが落ち着き次第すぐに動かなければならなかったので、それなら叩きでも良いから作ってしまおうと自分たちだけで進めていたんです。出来上がった叩きをご提出したところ、それをもとに議論がぐっと進みました。

「本質に立ち戻る」も「手を動かす」も「思慮深く」も、全て時間がかかりそうな3本立てですが、結果的には(そうしたほうが)クライアントが納得してOKが出るまでの時間は短くなると思っています。

―――――すごい……!クライアントのことを深く理解していないと、叩きとはいえ先回りして進められないですよね。何かフレームワークのようなものがあるのですか?

高橋さん
ないです。デザインは基本オートクチュールだと思うので、夢物語のようなものも含めてクライアントのやりたいことを整理していきます。まずは、Miro(オンラインホワイトボード)を使って全体の概念図を作るところから始めることが多いです。

―――――ちなみに、(代理店経由ではなく)直接のお取引が多いと伺いました。これは何か理由があるのでしょうか?

高橋さん
特にそれを狙っているわけではないのですが、結果的にそうなっている…という感じです。はじめは代理店経由の依頼であっても、途中で商流から抜けていくんです。

とある大手クライアントの例をお話すると、もともとお付き合いのあった代理店Aを通して仕事をしていたのですが、あるとき別の代理店Bからもそのクライアントの仕事のお誘いがあって、「今はAと取引しているから」とお断りしたことがありました。

その話を代理店Aにしたところ、「受けても良かったのに」と言ってくれて。そういうことならと、また別の代理店Cから同じクライアント案件の依頼が来た際にお受けしたら、なんと代理店Aとコンペになったんです(笑)。

結局そのコンペでは僕ら(代理店C)が案件を獲得したのですが、その結果を受けて、クライアントがものすごくびっくりされていて。というのも、もし代理店Aが勝った場合でもクリエイティブはnudoに依頼する想定だったようなんです。クライアントとしては、「(どの代理店を経由しても)結局nudoなのか」と思われたんだと思います。

そんな経緯もあり、案件縮小傾向の流れになった際に「クライアントも望んでいるし、これからはnudoさんが直接やってくれないか」と代理店Aからお話をいただき、直接お取引することになりました。

―――――なかなかない、すごいお話ですね……!御社のクリエイターさんが優秀でいらっしゃることが良く伝わってきました。お付き合いの長いクライアントが多いというのも、きっと同じ理由ですよね。

高橋さん
そうですね。ただ、それが逆に1つの課題になったりします。作り手からすると、ずっと同じデザインになってしまう。これはどのクリエイティブ会社も課題に感じることだと思います。付き合いが長ければ長いほどトンマナが「その会社のトーン」になっていってしまうので、その中で面白い映像を作ったりWebを作ったりというのはあっても、みんな飽きてしまうんですよね。

なので、単発で終わるような新しい仕事もうまく獲得して、自分たちの筋力も鍛えつつ、コンサルティングに近い今の仕事を長く続けるというバランスを(これからも)とっていきたいですね。

コーヒーショップで休憩するnudoの皆さんときには中庭にあるコーヒーショップでリフレッシュすることも

デザイナーはPMを、PMはものづくりをして欲しい

―――――nudoさんのことを理解できてきたところで、そろそろ採用の方にお話を移せればと思います。改めて採用背景は何でしたか?

高橋さん
社内をもう少し盤石にしたいと考えています。これは、会社を立ち上げた時に当時のメンバーとも話していたんですが、僕は「雇用主と社員」のような雇い雇われる関係って、ちょっと苦しいなと思っていて。うちを辞めてフリーランスになった人間もゆるく繋がり続けて、仕事を振ったり請けたりしながら、“nudo村”のようにみんなで一緒にものづくりできる関係性が一番良いんじゃないかなと思っているんです。とはいえ状況が変わることもあるので、“nudo村“を盤石にするために、仲間を増やせたらなと思っています。

―――――募集ポジションはWebデザイナーとPMですよね。

高橋さん
はい。PMはWebディレクターでも問題ないです。ただ、ブランディング案件や映像制作、スマートフォンアプリも手掛けているので、Webメインではありますが幅広く担当します。

―――――具体的にお任せしたいお仕事を教えてください。

高橋さん
冒頭でもお話したように、最上流の戦略部分から話を聞いて、見積もりとスケジュールまで責任を持つPM能力を持ったデザイナーしかうちにはいません。そういう意識を持って、PM業務も含めて楽しめるデザイナーを求めています。

作るものは本当に多岐に渡ります。UIデザインだけでなく、グラフィックデザインはもちろん、撮影がある場合はその資料を作ってディレクションに入りますし、映像の案件が1~2割あるので絵コンテも描きます。イラストが上手いメンバーも結構いて、そういう人は自分で描いちゃいますし、あとはコピーライティングもします。

―――――コピーまで……!?

高橋さん
書けなくても書いてもらいます(笑)。「自分でも書けるように」と伝えています。僕も元々(コピーを)書ける人間ではなかったですし、高いスキルを求めているわけではないのですが、やっぱりコミュニケーションをデザインしているので、文章は書けないといけないと思っています。

例えば、別の会社がワイヤーフレームを組んだとしても、僕たちは必要に応じて文章を大きく変えることもあります。デザイナーが主体となって、文脈や名称のルールも含めてすべて整理していくんです。提案書や戦略も作るので、デザイナーは扱う幅がちょっと広いですね。大変ですが楽しいです(笑)。

―――――すごい……本当にみなさん、選ばれし方々なんですね。
必要な素養について語るnudo高橋さん
高橋さん
いやいや、そんなことはないです。(今まで)やってこなかっただけで、誰でもできるんです。今のメンバーも最初はそうでした。少しずつ学んでもらえればと思います。

―――――それは心強いです!PMのポジションも同様ですか?

高橋さん
デザイナーにはPMをして欲しいと言いましたが、PMはその逆で、ものづくりをして欲しいんです。やはりこれも、作らないと本質がわからないからです。構造設計やワイヤーは必須で引いてもらいますし、必要に応じて戦略の絵も描いてもらいます。

たくさんの案件を進行管理とお金の面を中心に管理するPMではなく、「ワイヤーが描ける」「コピーライティングができる」といった、ものづくりのスキルを持ってほしいです。今は持っていなかったとしても、持てるようになることを求めます。

―――――おや?では、PMとデザイナーの職域がかぶってくるような……。すみ分けはどうなっているのでしょうか?

高橋さん
大部分が重なっていて、それぞれの担当範囲のコアが少し違うというイメージですね。僕たちの一番の理想は「デザイナーがPM視点を持つ」ですが、実際問題それで回しきるのは難しくて、忙しくなれば外部のパートナーと協業することも少なくありません。その場合はPMが担当することが多く、特に年単位でやるような大きなプロジェクトにはPMが入ることがほとんどですね。

―――――やる範囲は重なりつつ、PMに軸足を置くのかデザインに軸足を置くのかの違いですね。

高橋さん
そうです。僕がずっと付き合ってきた一流の人間は、自分の担当領域の前後(の工程)にまで口出しをします(笑)。文句を言えるだけの知見やスキルをちゃんと持っているんですね。例えばデザイナーであれば、UXはもちろん、デザインの前工程である戦略フェーズ、後工程である実装フェーズまでしっかり見られる視点は持っていてほしいと思います。

「妥協は死」。誠実に、真面目に、クライアントのことを考え抜く

―――――それでは、具体的にはどんな人と働きたいですか?どういう要素があれば、あとは入社してから学べますか?

高橋さん
ものを作るにあたっての考え方やスキルに関しては、入社してからできるようになると思っています。

ただ、「好き」の気持ちだけは、こちらがどうこうすることはできません。やっぱり僕たちは忙しいので、「好き」の気持ちがないとやっていけないと思います。「クリエイティブするのが好きな人」というのは必須条件になります。「好き」さえあれば深く突き詰められますし、ある程度の道筋さえ示せば勝手に学んでいけると考えています。

あと、みんな仲が良くて、クライアントに対してもフレンドリーです。その空気に馴染める人であれば、スムーズに入っていけると思います。

―――――確かに、クライアントさんとフラットに仲良くなれないと、本質的な情報ももらえないですよね。

高橋さん
そうなんです。難しいことではありますが、やはり「フレンドリー」は僕らのキーワードの1つだと思いますね。プライドが高すぎると信頼関係は作れないですし、みんな素直で真面目です。

あと会社の雰囲気で言うと、今年の1月から出社ベースに切り替えました。僕らはクリエイティブを仕事にしているので、会話が前提になる以上、出社を基本にしてしまったほうがいいかなと。

―――――出社したくなるオフィスですしね!

nudoオフィス緑に囲まれた、閑静な環境にあるオフィス

高橋さん
オフィス環境には気を使ってます。リモートの考え方は、逆に雨の強い日なんかは”みんなで”オンライン(勤務)にしたりします(笑)。電車も混むしストレスも感じるし、各々が出社したりオンラインしたりするよりは、大雨だから全員オンライン!と決めたほうがやりやすい。あとは急ぎ対応や前日仕事で遅かったから次の日はオンラインにしたり、各人最もパフォーマンスが出る方向で、とだけ示しています。

―――――改めて他社との違いやnudoらしさを挙げるとすると、何ですか?

高橋さん
クライアントが話しやすいこと、話を聞き出す力が大切だと思っているので、緊張して硬い会話にならないよう、できるだけフレンドリーであることはやっぱり意識していたいです。ただ対クライアントとなるとやはり緊張もしますし、文化として定着しているかというとまだ発展途上なので、どんどんそれを定着させていきたいなと思っています。

あと、「nudoの価値ってなんだろう?」というのを今年から言語化し始めていて、「深く考える」というキーワードが挙がりました。「深く考え抜く」「思慮深く丁寧に」というカルチャーから、弊社のサイトリニューアルに合わせて「考える」を具現化したnudoのシンボルマークも作成しました。

nudoロゴについて「ひとつの決まった形状ではなく、いろいろな形状を許容している」

あとは「誠実さ」ですね。みんな真面目で、丁寧です。クライアントのことを考え抜くスタイルなので、うまく力を抜けないという不器用な視点もあります。クリエイティブの会社は、みんな必死で良いものを作ろうとするものだと思いますが、「フレンドリー」「考える」「誠実」というところは特に意識するようにしていますね。

―――――器用にこなす方より、例え不器用であっても全力で向き合う方が御社で活躍できそうですね。

高橋さん
弊社は、時間のゆるす限りデザインスタディを行います。クライアントから「こういう方向性ではどうですか?」というお話をいただくことがありますが、その多くが既に社内で検証済なので、理由を含め採用理由をロジカルに説明していくことで、信頼を構築していきます。結果、お付き合いが長くなるほど何も言われなくなります(笑)。

―――――やりたくてもなかなかできないことです……!それを実際に組織として実現していらっしゃるのはやっぱりすごいです。

高橋さん
僕がデザイナーだからだと思いますよ。トップの人間がデザイナーじゃなかったら、このスタイルを続けるのは、おそらく難しいんじゃないかと思います。

―――――では、新しい方が入ったら何を期待しますか?

高橋さん
面談のときに僕らの制作の経緯の話すると、みなさんどんどん自信をなくしていっちゃうんです(笑)。「私で本当に力になれるんですか」というのは大体言われます。

でも、先ほどお話したように今のメンバー全員がそのレベルから入社しているので、問題ありません。定期的に社内勉強会もありますし、ナレッジはできる限りNotionにまとめていますので、皆さん入社したらまずそれを読む時間でいっぱいになると思います(笑)。

仕事に慣れてきたら、自分の「好き」をもとに会社の方針の中でどういう役割がしたいのか自由に決めてほしいなと思います。あと、指示を待ち言われたことを精度良くするタイプより、わからないことでも自分で調べて進めれる人がマッチすると思います。

それでもわからないことは気軽に相談したり、サポートし合える社風なので、その点は安心してください。メンバーで一緒にランチを食べる機会も多く、和気藹々とした雰囲気です。

―――――それを受け入れてくださるカルチャーがあるというのがやっぱり大きいと思います……!では最後に、応募を検討している方に一言お願いします。

高橋さん
考えることが好きな人にとっては、すごく幸せな環境だと思います。一緒にクリエイティブを楽しみましょう!

ーーーーーありがとうございました!

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