創業110年を超える味の素の新たな挑戦。データとクリエイティブのシナジーで“消費者に選ばれ続ける”世界を創る

公開日

2024/03/18

変更日

2024/03/18

2023年4月、味の素は大胆な組織改革を行い、既存のクリエイティブ機能とマーケティング機能を統合させた「マーケティングデザインセンター」を設立しました。メディア・クリエイティブ機能のみ切り離して外注する企業も多い中、オウンドメディア「AJINOMOTO PARK」を中心に置いた新たなマーケティングサイクルを構築しようとしています。

その興味深いお取組みについてぜひ詳しくお聞きしたい……!と取材を申し込んだところ、快くお引き受けいただき、同センター長の岡本達也さん(写真右)、副センター長の稲垣英資さん(写真左)、同じく副センタ―長の向井育子さん(写真中央)にお話を伺うことができました。

自分のスキルを事業や社会貢献に活かしたいと考えているクリエイターの皆さんにとって、きっと大きな刺激になるはずです。

マーケティングを“デザイン”して、数字に想像力を持たせる

――――初めて御社のマーケティングデザインセンターに触れる方のために、改めて同センターの概要についてお伺いできますでしょうか。

岡本さん
味の素はtoB・toC両方のビジネスを展開していますが、私たちは特にtoCのビジネスが長いメンバーです。食品を中心に世界中で製造・販売を行い、BtoBtoC(メーカー→卸→小売→消費者)のビジネスモデルで深いお取組みをさせていただいています。

例えば、日本全国のスーパーマーケットなどはもちろん、海外では東南アジアが非常に強く、営業が直接足を運んで市場のタッチポイントをがっちりと押さえています。さらにマスメディアとのお付き合いも非常に得意な会社でしたので、そういった強い環境の中で大きく事業を発展させてきました。

そんな中、Amazonさんを中心に全てがオンラインで完結するビジネスモデルが台頭し、従来のビジネスモデルのまま事業を継続できるのだろうか?という課題が出てきました。さらにお客様が手元のデバイスで自ら情報を取れるようになったため「食」という興味関心のシェアが相対的に低くなってきたこともあり、今までのビジネスモデルを維持しながらもお客様との接点を今まで以上に濃くしていく必要がありました。

食品事業本部副事業本部長 兼 マーケティングデザインセンター長 岡本さん

従来から「調査会社さんから消費者データを購入する」また「アドホック調査で直接お客様の声を聞く」といった手法は取り入れておりましたが、それだとお客様を360度とした場合のイメージでいえば1~3度くらいの接点しかない。一方で、私たちのオウンドメディア「AJINOMOTO PARK」には月間800万~1000万人ほどのユニークユーザーが訪れてくれています。「この人たちと直接繋がることができれば、だいぶ違った世界が見えるのではないか?」と想像したのが最初のきっかけです。

「AJINOMOTO PARK」を顧客の基盤とし、今までのようなBtoBtoCではなくBtoCで商品、サービスを作ってお届けできれば、お客様と直接繋がることができます。そのお客様が「AJINOMOTO PARK」でより多くの様々な情報に接していただき、さらに足跡を残していただくことで、これらの情報の蓄積をもとにもっとその方に合う商品を開発したり、体験価値を創出することができるのではと考えました。

味の素㈱も事業規模が大きくなってきているので、多くのセクションが縦割りで分かれています。例えば、商品開発・販売戦略立案を行い採算を見る事業部、国内だと販売の組織は支社が請け負います。向井がいる当センターのコミュニケーションデザイン部は旧・広告部で、広告クリエイティブやパッケージデザイン、メディアのバイイングなどを担当するセクションとして分かれて存在していました。また当然研究開発、工場も別にあります。そうすると、お客様に価値をお届けするのに一気通貫でスピーディにとはいきません。

マーケティングという側面において、ほぼ全ての機能を備えたものを作った方が、お客様にはダイレクトに価値がお届けしやすくなるのではと考えました。

―――――それでマーケティングデザインセンターが誕生したのですね!「マーケティングという側面において」というお話でしたが、マーケティングセンターではなくマーケティング“デザイン”センターという名称にしたのは、どういった意図があったのでしょうか。

向井さん
マーケティングって、右脳と左脳の行ったり来たりだと思っているんです。稲垣が持っているチームはマーケティング開発部なので「左脳」、私たちはクリエイティブなので「右脳」。

マーケティングデザインセンター 副センター長 兼 コミュニケーションデザイン部長 向井さん

デザインを日本語に訳すと「設計」という意味で、生活者が抱えている未充足のニーズを形にするということだと考えています。よくクリエイティブのジャンプとか、飛躍と言いますが、そういうものはやはり右脳をすごく働かせないといけない。

「デザイン」という言葉が名前についていることで、「ジャンプしていいんだ」と思ってほしい。マーケティングがより軽やかになって、もう少し想像力を持たせられるというか、 「みんなが今まで想像できなかったことを形にしていけそう」と思ってもらえると感じます。

岡本さん
マーケティングって、ある側面ではやはり「学問」なんですよね。きちっと学問としての体系があって、その学問を学んで、私たちなりに解釈をしている。そうしてマーケティングのモデル通りにやっていれば良い新製品ができるか、良いコミュニケーション戦略ができるのかっていうと、そんなことはないんです。

やっぱりそこには「アイデア」が必要で、基本のベースをガチっと作った上で「いかにアイデアでジャンプできるか」がすごく大事。そこを忘れちゃうと、とっても理路整然とした発売計画ではあるけれどなんか売れそうもない、普通のものができちゃう。

―――――なるほど……!

岡本さん
マーケティングをある意味「デザイン」していく、常にアップデートして立ち止まらずにリデザインしていくというセンスってすごく大事で、そういう意味合いも含めてクリエイティブ要素は必ず持っていなきゃいけないよねという気持ちは、名前を決めるときにすごくありましたね。

向井さん
デザインって、常に進化して常に何か驚きや面白さがないと受け入れてもらえないと思うんですけど、マーケティングも同じように進化し続ける、常に形を変えて良いものになってみんなに驚きを与えていく。そういう意味が込められていると良いですよね。

稲垣さん
味の素って基本的には食べ物を作っている会社なので、一番大事なのは「温度感」すなわち手触り感なんです。最後に数字を読み替えるとき、その「温度感」を持ってることがすごく大事で。

マーケティングデザインセンター 副センター長 兼 マーケティング開発部長 稲垣さん

データ解析やリサーチなど「ずっと左脳だけ使えば良い」と思って入社してきた社員もいると思うのですが、実際は「じゃあどんな気持ちがその数字の裏にあるんだっけ?」「その人の家族だったらどう反応するんだろう?」という会話がなされているわけです。データとデザイン、データとクリエイティブということをどう融合させるか?ということが、きっとこの組織のミッションなのかなと思っています。

岡本さん
データそのものだと数字でしかないですが、「この裏に隠れているものは何か?」って考えることがマーケターの一番の仕事だと僕は思うんです。人間がいる意味ってやっぱりそこじゃないですか。それがないなら統計専門の方にやってもらえばいいし、AIでやってもらえばいいだけの話です。

稲垣も言っていましたが私たちは食べ物を作っていて、食べた時にまず生まれるのは感情なので、やっぱり数字だけではとてもじゃないけど商売できないですよね。

意識的にバットを振りにいき、新しい価値を創造し続けたい

―――――右脳と左脳、データとデザインの融合、想像力……などのワードが出てきましたが、マーケティングとデザインの理想の関係について、センターとしての共通のイメージがあればお伺いしたいです。

岡本さん
共通のイメージは今一生懸命作り上げている途中ですが、僕が部下の人たち、後進の子たちに日々話しているのは「バットを振り切れ」ということです。

味の素㈱のマーケティングの仕事は非常に幅が広いです。商品が生まれる前から全ての過程にたずさわり、利益の管理もし、製品の需給、出荷みたいなことにも関わっているのですが、いずれにしろ新しい製品、戦略、コミュニケーションを生み出すことは「未来に跳ぶ仕事」ですよね。未来のお客さんに向かって、確実なことは1つもない中、今まで積み上げてきたことを脳みそフル動員して仮説を入れた上で、決断して跳ぶ。そこで僕は「とにかく遠くまで跳べ」「思い切ってジャンプしてくれ」と言うんです。「とにかくバットを振れ、スイング・ザ・バット!」ということですね。

バットを思い切ってビュッと振ると、大失敗したとしてもなぜ失敗したかがわかります。「じゃあ次はここを改善すればいいじゃん」という風に、得るものがめちゃくちゃ大きいんです。バントしちゃうとそれがわからない。

なので「バットを振れ」「決断をしろ」と、そこを文化にしていきたいんですよね。もともと味の素ってそういうマインドから始まっている会社なので。

―――――あれ、そうなんですか?!

岡本さん
1909年に商品の「味の素」が発売になるその数年前、東京大学の池田菊苗博士が湯豆腐の汁から感じるものが今までの四基本味(酸味、甘味、塩味、苦味)では説明できない「うま味」だということを発見しました。これをなんとか商品化したいということで私たちの創業者・鈴木三郎助に持ち込むんですが、まず昆布を煮出して煮詰めてみるところから研究を始めるっていう……今考えたらありえないじゃないですか、そんなこと考えつくの(笑)。

―――――(笑)!でも確かに、ぶっ飛んでいるかもしれません。

岡本さん
そう、ぶっ飛んでいるんです。そのあと酸分解しようとして窯がダメになっちゃったとかいろいろあるんですが(笑)、そういうことをやろうとしたこと自体、もう大ジャンプですよね。日本人が美味しく食べて、たくさん栄養を摂れるようしたいと思い、思い切ってジャンプした。それには社会的な価値があったわけです。

そういう生業なので志はずっと持ってはいるんですが、会社が大きくなるとだんだん守りの方に行ってしまうので、取り戻したいという気持ちもすごくあるんですよね。

―――――なるほど……!お二人はいかがですか?

稲垣さん
僕は、商品開発する人だけでなく、営業も製造に携わる人も、その他さまざまな業務をする人、みんなマーケターだと思うんです。特に当社が扱っているのは食べ物で、みんな毎日、自分自身が何かを食べ、何かを考え、思い、生きているわけですよね。みんなが自分の仕事やプライベートを行き来しながら、(味の素のマーケティングについて)考えている世界をいつか作れるといいなという風に僕は思っています。

だからまずは自分の部署だけでも常にバットを振ってないといけないなと。そうすれば、「ここは思い切りバットを振らせてくれる場所なんだ、行ってみたいな」とか「隣ですごくバットを振ってるから、うちの部署も振らせないとやばいかな」とか、伝播していく。きっと起爆剤になれる、そんな部署なんです。

自分もそういう部署にいたのでわかるのですが、日々の業務で一生懸命利益を稼いでる部署って、どうしても守りに入っちゃうんです。でも僕たちが元気だと、みんなが元気になる。だからもしかしたら僕たちの役割には、(マーケティングの)仕事をやる以上の目には見えない付加価値があるんじゃないかと僕は信じています。

向井さん
私は「こんな世界があるといいよね」っていうゴールをまず思い描くことが大事だと思うんです。デザイン思考という言葉が流行りましたが、クリエイティブの人たちって「ありたい姿は何?」ということを普通に最初から考えてるんですよね。先にありたい姿があって、それが本当に合ってるのかどうかを検証する。

そこをデータから入っていってしまうと、ありたい姿を探す前に燃え尽きてしまうこともある。だからこそロジックで作るんじゃなく、クリエイティブに「描く」ということをすると、多分もっと楽しくなると思っています。

しかもそれがスイング・ザ・バット、「振り切ってやって良い」という文化で発想のタガを外すことができるのが良いところ。こういうことをさっきの(マーケとデザインの)行ったり来たりで作っていくという「相棒感」がすごく大事なんだと思うんですよ。

岡本さん
食の世界って、ハイテク産業と違って変化がものすごく緩やかです。特に味の素株式会社は組織もすごくしっかりしているし、放っておくと3年間は何にもしなくても過ごせてしまう。そんな環境では、自分たちで意識してジャンプをしに行かないと変化できないんです。

出典:味の素㈱ホームページ

味の素グループWayの1番上に「新しい価値の創造」という言葉があります。商品の「味の素」も当時の新しい価値だし、これまでもずっとそういう商品を作ってきた。でも(無難に過ごしていると) それができなくなっちゃうんですよね。

周りは僕たちのことを「やりすぎだ」と思ってるかもしれませんが、僕はそれぐらいやってちょうどいいんじゃない?という気持ちがあります。

―――――では味の素のマーケター、デザイナーに必要な要素は「バットを振り続けられること」でしょうか?

岡本さん
あとは、考える力と、人が好きなことかな。食は人間を見に行かないと商売にならない。日々のちょっとした「この人なんでこんなことしたんだろう」「なんで買ってくれたんだろう/買わなかったんだろう」とか、 そういうことを想像するのが好きなこと。

そして直感ですね。直感って、その人が持っているいろんな観察や経験の引き出しを掛け算して出てきたものだと思っていて、だから良いマーケターの直感は後から必ず論理的に検証できるんです。それが実践できる人がいいなと思います。

向井さん
先ほど私が言っていたことも「直感で描いた後に検証しに行く」ということに通じますね。でも私はやっぱり単純に面白がれる人が大事だと思います。何をやるにしても「あ、こうしたらもっと面白い!」「あ、それ面白い!」というのを発見できる人は良いと思うなあ。

稲垣さん
僕も近いんですが、仕事以外の時間を豊かに過ごしているというか……簡単に言うとインプットが多い人。何か思いつくのって会社の机の上じゃないんですよね。「あのとき行った旅行のこれ」とか、「あのとき見た洋服のこの色ってパッケージにしたら何が起こるだろう」とか、直接関係ないことにもワクワクする人の方が話してて面白いですよね。

送客ではなくファン作り。食にまつわる豊かな時間のお手伝いを

―――――私が個人的にすごく良いなと感じたのが、外注で切り出す会社も多い中「AJINOMOTO PARK」を自社内で運営していらっしゃるところなのですが、そこにもなにか理由があるのでしょうか。

AJINOMOTO PARK トップページ

岡本さん
新しい価値を生み出すためのノウハウや経験値は、自分たちでやって会社の中に蓄積していかないと。全部外に出してたら無形資産にならないですよね。状況に合わせて(外注で)助けていただくことも当然ありますが、最終的にはそのコアの部分が自分たちにないと資産にならない。資産がないとやっぱり新しいものを生み出せない。ということだと思います。

―――――なるほど……!では、先日宣伝会議さんのオンラインセッションで「AJINOMOTO PARK」をファンベースに進化させるために強力な集客コンテンツを作っていくとお話されていましたが、差し支えない範囲でどういったコンテンツなのかお伺いしても良いですか?

岡本さん
「AJINOMOTO PARK」は「レシピ大百科」というレシピサイトから始まり、今は野沢というグループ長が一生懸命改革をしてくれています。お客様と一緒にコミュニティを作ったり、オフライン・オンラインのイベントをやってはお客様と一緒にコミュニケーションをして共創したり、あとは記事コンテンツをたくさん作るところをやってはいるんですが、まだまだレシピサイトの色合いから抜け切れていなくて。ここをどうするかというのが当面の課題です。

向井さん
ただやろうとしていることは明確で、「食を通していろんな人の笑顔を作っていく」ということ。食べるという行動だけでなく、誰かのことを思って料理を考えるとか「一緒に食べよう」という本当のウェルビーイングに繋がっていく場を作って、育んで、繋がっていくサイクルをちゃんと回していきたいと考えています。

そうすることで、私たちを実際に好きでいてくださるファンの人たちが、今日も美味しかった、良かったっていう笑顔がどんどんできる世界を作っていく。そのためにはリアルだけだと離れてしまうので、ちゃんとデジタルで「繋がる」。

通販だと「通信で販売」だから「売ります」のスタンスなんですが、私たちは「ファンを大事にしよう」というスタイルです。ファンを大事にすること、ロイヤリティの高い人たちがいてくれることを主軸に人を増やしていく。それが結果的にうちの会社にとって良いことになる。そういう場を「AJINOMOTO PARK」中心にリアルとデジタルの両方から作っていきたいです。

―――――すごく素敵です!私たちも勉強になります。

向井さん
もう、ものすごく試行錯誤していて、大変なんですよ(笑)。元々800万人くらいユーザーがいますが、その人たちが全員ロイヤルティの高いファンかっていうとそうじゃない。そこから無理やりうちに入ってきていただくのではなく、地道に徐々に、この人たちが嫌だって思うようなことをやらないように。食ってそういうものじゃないですか。嫌なものを押し付けられても困っちゃうし、今日の気分もあるし……ということを、本当に試行錯誤しながら常にディスカッションして作っていて。

でもそれは「AJINOMOTO PARK」という母体だけではなく、普段つながっている生活者の方、一緒に応援してくれている代理店さんや、プロダクションさん、印刷会社さん、媒体社さん、あとはインフルエンサーさんもアンバサダーさんも、国各地のそういう人たちも含めて「ファンを作っていく」ってことを総合的に今やっていこうと話しています。

岡本さん
弊社は100年以上ビジネスしてきているので、ギョーザを年に何十袋も買ってくれたりとか、 ほんだしを何十箱、Cook Do®を何十箱買ってくださる方はいらっしゃるんです。でもご自分が味の素㈱ファンだと自覚されていないケースもあるんです。そういった方々にまず「お友達になりませんか」っていうところから今やろうとしています。

向井さん
「出会う」「育む」「繋がる」のサイクルの、「育む」と「繋がる」ですね。お仕着せじゃなく、「他にもこういうのあるよ」っていう。

岡本さん
気楽な感じでね。

向井さん
売るってなると必ず「送客」って言うんですけど、うちは常に「ファン作り」なんだ、だから送客という言葉をやめようと言っています。月次報告会のタイトルの1番上にも「それ、ファン作りしてる?」って書いてあるんです。軽いタッチで(笑)。

―――――(笑)!でも軽いタッチの方が、自分で自分に日々「これはファン作りだっけ」と振り返ることができそうです。

向井さん
そうですね。ファンの方は絶対に裏切れないですから。

―――――ではこれからそういったコンテンツを増やしていく上で、味の素らしいコンテンツ、デザインとは何でしょうか?

岡本さん
「食にまつわる豊かな時間」という言葉を僕はよく使うんですが……。僕が最初にマーケティングの世界に入った頃、クノール®カップスープを担当していて、当時は時間を短くすること、簡単にすることが絶対善だと思ってやっていたんです。主婦の方は大変だから、できるだけ短くする、簡単にする。だけどウェルビーイング研究の第一人者である石川善樹さんとお話したとき、「良い食材を買いに行く時、お料理にちょっと工夫をした時、みんなで食べている時って、すごく良い時間でしょう」と言われて。僕はもう50を過ぎていましたが、確かにそうだよなと結構な衝撃を受けました。

人が生まれてから死ぬまでの時間をいかに豊かにできるかということがウェルビーイングだと今は思っていますが、「食にまつわる時間」はそこにすごく貢献ができる。「美味しい」はやっぱり本能に訴えかけるし、それを人と共有すると楽しい気持ちになる。そういうことをたくさんの人に味わっていただく、そういう時間を過ごしてもらうためのお手伝いが、味の素はもっとできるはずだと思っていて、それがコンテンツやデザインで具現化できるといいなと、大きい概念ですけど僕は考えていますね。

向井さん
私は、「AJINOMOTO PARK」の先代キャッチコピーだった「たべて、笑って、生きていく」ということ(にまつわるコンテンツ)だと思います。商品を買ってもらうまでが仕事でなく、「生活者がどう使うのか」までをしっかり考えたいと思っています。レシピのストックはすごくたくさん、エリアごとにあるんですよ。だからそれはもう地元の味、家庭の味なんです。

岡本さん
基本、ローカルアダプテーションの会社なんですよ。タイならタイの料理、インドネシアならインドネシアの料理をより美味しくするにはどうしたらいいかということを、一生懸命考えている会社です。そこが同業他社さんと全く違うところですね。

稲垣さん
僕は、「おいしいお店はここだよ」みたいなことも含めて、食にまつわること、何にでも答えてあげれるようになるといいなと思っています。味の素社員に聞いた居酒屋はグルメサイトで見たお店より断然美味しい、と思っています(笑)。

味の素ってBtoCも強いんですが、BtoBにも半分ぐらいビジネスがある珍しい会社です。BtoBに携わる人たちもたくさん知見を持っていて、世界各国にいるので、そういう人たちを次のステージで絡められると良いんじゃないかな。例えば「タイに行ったらこのお店に行け」みたいなコンテンツとか。そういう(食の観点でtoBtoC含めた)世界を築ける会社って絶対ないと思うので、そうなるといいなと思いますね。

―――――では最後に、情報があふれているこの時代で味の素が選ばれ続けるために必要だと考えていらっしゃることを教えてください。

岡本さん
お客様への愛と、商品への愛情かな。自分の家族に食べさせたいと思って商品化してる?みたいな、やっぱり究極はそういうことだと思いますね。

―――――ありがとうございました!

  • twitter
  • Facebook
  • Linkdin
  • LINE
  • はてなブックマーク

この記事を書いた人

HIGH-FIVE編集部
HIGH-FIVE編集部

HIGH-FIVE編集部

HIGH-FIVE(ハイファイブ)は、IT/Web業界のクリエイター・デザイナーに特化した転職エージェントサービス。私たち編集部ではオウンドメディアだけでなく、転職サイトやSNSも運営。日々クリエイターの皆様へ向けて、クリエイターキャリアのお役立ち情報・転職ノウハウなどを発信中!

関連記事