簡潔明瞭で、誰もが使いやすいことに価値がある。後払い決済サービスのパイオニア「NP後払い」のネットプロテクションズが考える“デザインの力”とは

公開日:2023/09/08

変更日:2025/05/25

国内後払い決済(BNPL=Buy Now,Pay Later)サービスのパイオニアであるとともに、国内後払い決済サービス市場においてシェアNo.1を誇る(*1)リーディングカンパニー、株式会社ネットプロテクションズ。「つぎのアタリマエをつくる」というミッションのもと、事業及び組織の両面から革新的な取り組みを続けています。

今回はそんな株式会社ネットプロテクションズのデザイングループにインタビューを行い、多くの人々から愛され、選ばれ続ける理由を、事業・デザイン組織・採用という3つの視点から探っていきたいと思います。

*1 当社推計(加盟店ベース)。2021年1月7日付通販新聞掲載の「第75回通販・通教売上高ランキング」に掲載されている300 社のうち、高額商品を扱う企業を除いた239社における後払い導入済み企業166社が調査対象(2020年3月1日時点)。PROFILE:
株式会社ネットプロテクションズ 執行役員 Senior VP of Consulting 兼 Design 小川 尚大
2011年に株式会社ネットプロテクションズへ入社。カスタマーサービスでお客様対応を経験したのち、マーケティンググループのデザインチームに所属。2017年にはスマホ決済サービス「atone(アトネ)」の立ち上げに従事。その後2020年にデザイングループの立ち上げに携わる。現在は経営企画を行う部署の立ち上げを並走しており、経営とデザインの橋渡しを行っている。

分かりやすくて、もっとも使いやすいキャッシュレスでありたい

―――初めに、ネットプロテクションズの事業についてお聞かせいただけますか?

小川さん

当社は「後払い決済サービス」の会社です。 2000年に創業し、2002年より日本で初めて未回収リスク保証型のBtoC後払い決済サービス「NP後払い」を開始いたしました。主にネットショッピングをするお客様に対し、クレジットカードを使わず安心安全に、かつより簡単にお買い物できる仕組みとして、長く成長し続けてきたサービスです。

さらに2011年、そのサービスをより幅広いシーンで使えるように、企業間取引向けにBtoBサービス「NP掛け払い」を開始しました。大手企業が小口のお客様と取引する場合、既存事業の高い審査基準を当てはめることが多く、営業担当者が頑張って商談までこぎ着けた取引先が与信審査ではねられてしまう、というケースも見受けられます。そこで当社が間に入り、請求業務をすべて代行し未回収リスク保証することで、商流を円滑にするというのがコンセプトになっています。

その後も「NP後払い」「NP掛け払い」の2サービスを軸としてさらに事業が多角化しており、昨今では通販・実店舗ともに使えるスマホ活用型の後払い決済サービス「atone(アトネ)」や、台湾・ベトナムで使える後払い決済サービス「AFTEE(アフティ)」を提供しています。

これらの事業運営により、決済サービスを通じて誰もが安心かつスムーズに商取引をできる社会の実現を目指しています。

―――他社と異なる貴社ならではの強みはどのようなところになるのでしょうか?

小川さん
類似サービスとの最も大きな違いは「与信精度の高さ」でしょうか。当社はいかに広くたくさんの人に利用いただけるかを考えているので、当社がリスクを取って一度お客様のことを信用し、まずは使ってもらうというコンセプトを事業開始以来ずっと掲げ続けています。

結果、20年以上の後払い決済サービスの運営過程で、実際にお支払いいただいた人たちのデータが非常に多く蓄積されています。それらの“新しい信用の尺度”を基にサービス展開できているところは非常にユニークだと考えています。

―――なるほど、「情報量の多さ」が「精度の高さ」に繋がっているわけですね!

小川さん
そうですね。取引を成立させて良いかどうか迷うお客様がいた場合でも、システマティックに切り捨ててしまうのではなくあえて一度人間の目で細かく情報をチェックした上で判断しています。非常に精度の高いサービス提供に繋がっていると思います。

有難いことに当社をベンチマークいただくこともあるのですが、国内で最も長く後払い決済サービスを運用する中で蓄積された多様なデータやノウハウがあることから、お客様に選んでいただけているのではないかと思っています。「一番使いやすい決済サービス」みたいなポジショニングは取れているのではないでしょうか。

―――ありがとうございます。すでにコンセプトのお話も出ましたが、日々どのような思いで仕事に取り組まれているのでしょうか?

小川さん
広くたくさんの方々にしっかりと行き届くようなサービスであってほしいと思っています。というのも、当社のサービスにはクレジットカードや銀行など従来の金融システムでは恩恵を受けることができなかった層にも価値を提供するという役割があるためです。

例えば、転職や事業の立ち上げなど急に金銭的負荷がかかるタイミングで、前に進むために支えてほしいのに、支えてもらえる対象がない……そんな時にこそ「後払い決済」によって手を差し伸べられたらと思っています。


これまで後払い決済サービスを利用されたお客様100人以上にインタビューを実施してきましたが、クレジットカードの利用について、「なんとなく不安だ」「気づいたら分割やリボになっていた」など一度や二度はご自身またはご友人や知人が嫌な思いをしたことがあるという方がいらっしゃいました。

「便利であることは分かっているけれど、使うにはハードルを感じる」という状態に対して、私たちの決済サービスが簡潔明瞭で使いやすい「新しい選択肢」でありたいと考えています。

クレジットカードだけ使う、後払いだけ使う、というわけではなく、お店や個人の状況によって使い分けができる状態が良いなと思うんです。最も分かりやすくて、最も使いやすいキャッシュレスでありたい。そこに当社のサービスの価値があると思っています。

―――時にはチャレンジを支える役割として、時には新たな選択肢として。本当に素晴らしいサービスですね!

法人間の取引も同じです。例えば大手企業が小口企業との取引拡大に難航している場合、当社が金融の仕組みをもって支えることで、取引先の企業規模や信用有無を全く気にすることなく、業種業態も問わず、幅広い方々にサービス提供できるようになります。全国の中小企業も非常に助かると思いますし、結果としてお店の取引先拡大、売り上げ向上に貢献していくことができるのではないかと思います。

こうして社会の隅々にまで信用を届けていくことで、商取引をより滑らかにしていくことは非常に重要なことであると思いながら日々取り組んでいます。結局必要なのは“柔軟性ですかね。様々な状況に置かれている方のニーズに対し、当社がいかに適応していくかを考えていかないといけませんから。

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商業デザインの目的は「お客様に使い続けてもらうこと」

―――続いて、現在小川さんが所属されているデザイングループについてのお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?

小川さん

デザイングループは、グループとして設立3年目になります。アットホームでみんなでワイワイ……というよりは、各個人がここに自分がいる意味を宣言しながら研鑽を積むような文化がある組織ですね。

体制としては事業と機能のマトリクス型です。事業ごとの縦軸と、コミュニケーションデザイン/プロダクトデザイン/UXリサーチという3機能の横軸が存在します。
デザイングループに入った場合、担当する事業と機能の2つを決めていくことになります。例えば先日入社した方は、「NP掛け払い」事業の「プロダクトデザイン」を中心に推進していくことになりました。人によってはコーポレート、IRという領域を担当することもあります。

個人としては、事業という枠組みの中でセールスやマーケティングなど様々なメンバーと連携しつつ、顧客にどう価値を届けていくかを考えていく。デザインチームとしては、コミュニケーションデザイン、プロダクトデザイン、UXリサーチそれぞれの機能で専門性を発揮していく……という役割分担になっています。

―――担当分野の異動はあるのでしょうか?

小川さん

全然ありますね。弊社は半期に1ビジョンシートという仕組みを用いて、「個人が中長期的にどういう人生を歩みたいか」「何をしたいか」「どういう状態でありたいか」を踏まえた上で、今チャレンジしたいことについて対話する文化があります。それらをもとにした異動は柔軟に発生しますし、半期を待たずとも日々個人や会社の状況を鑑みてリソースを動かすこともあります。

―――「コミュニケーションデザイン」「プロダクトデザイン」「UXリサーチ」について、なぜこの3つなのでしょうか?デザイングループを設立された経緯とあわせてお伺いできますでしょうか。

小川さん

実はもともとコミュニケーションデザインの領域しかなかったんです。デザイングループができる3年前まではマーケティンググループの中にデザインを担当するチームがあり、そこでWebサイトやダイレクトメール、営業資料といった販促物を作るという意味合いでのコミュニケーションデザインを行っていました。

私は入社4年目のタイミングで「atone(アトネ)」事業の立ち上げを経験したのですが、「事業立ち上げ×デザイン」という軸で見たとき、プロダクトデザインやUIUXデザインの機能に専門性を持っている人が社内に1人もいないこと、そういった機能もないことに気付きました。これらの機能は事業を作っていく上で必要不可欠ですし、会社にとっても非常に重要な役割であることは間違いがなかったので、デザインにおける専門性を拡張させるべくデザイングループを立ち上げ、始めにプロダクトデザインの機能を取り入れました。

加えて、創造型のアプローチのノウハウがなかったので、 そこを体系的に担うためにUXリサーチチームを作りました。お客様の声を受動的に伺うことはコールセンターが行っていましたが、もっと能動的にお客様の状況を観察したり、ヒアリングしたりすることで価値創造に繋げるというチームがなかったんですよね。

―――「UXデザイン」として括らず、「リサーチ」を切り出しているところにこだわりを感じました。何かそこに特別な想いはあるのでしょうか?

小川さん
私自身、入社してからの3年間カスタマーサービス部門にいたという経験から、お客様の声から得られる資産は非常に多いと感じていたんです。自分自身のバックグラウンドが強く影響していますね。

あと、「“もの”を作るからこそデザイン」という考えももちろんありますが、その“もの”を使ってもらって「お客様に価値がしっかり届いてこそ意義がある」という考えもあると思うんです。価値提供の検証までオーナーシップを持って推進する組織にしたい、そのためにはリサーチにしっかりと投資したいという強い思いのもと、部署運営を行っています。

―――小川さん、カスタマーセンターにいらっしゃったのですか!?デザイナー出身でいらっしゃると思っていました!

小川さん

私は学生時代に美大にいたわけではなく、数学を学んでいたんです。感覚的ではなく、論理的にデザインを考えるタイプですね。 一方で、感性として何を人は美しいと思うのかを考える「感性工学」「人間工学」はデザインチーム立ち上げの際に改めて学びましたが、やはり美大・芸大卒の人と自分とでは持っている能力、スキルセットが異なりますね。

―――だからこそ、見た目の美しさや素敵さだけでなく、お客様に価値が届くような、使いやすいデザインにしようという志向が強いのではないでしょうか。

小川さん
そうですね。総じてビジネスをする上では、デザインの中でも商業デザインが重要になってくると思います。やっぱり商業デザインはお客様に使い続けてもらうことが目的だと思いますし、使い続けてもらうためにしっかり差別化した状態でコミュニケーションし続ける必要がある。これこそがブランディングの本質だと思います。

そこに向けて必要な能力やスキルは、私で担えている部分もあるかもしれませんし、担えない部分も多分にあることはわかっているので、そこを埋めるためにまさに今、採用を強化しています。

―――デザイナーを採用するにあたって、同じような考えを持った方というのはかなり重要ですよね。

小川さん

はい!それぞれいろんなポジションがありますが、最終的に問うのは「ブランディングへの興味」と「お客様にとっていいものを作りたいと思っているかどうか」。この2点に対して、非常に真っ直ぐで、確固たる思いと覚悟のある方と協働できればと思っています。特定の領域のスキルを極めたいなど、ブランディング戦略より「手段」に興味のある方だと、当社の環境とはミスマッチが生ずる可能性がありますね。

デザイン組織から事業戦略をアップデートしにいく

―――デザイングループを立ち上げて3年とのことでしたが、当初から思い描いていたものと比べて、満足している部分、足りない部分というのはありますか?

小川さん

立ち上げ当初はほぼ何もなかった状態だったのに対し、今は各事業のデザイン担当がきちんと存在しています。各機能・事業の領域ごとで「私はここを極めていきたい」という社員をしっかり配置できているので、リソースの調達という意味では非常にうまくいったかなと。会社の中でデザインに投資するというファーストフェーズはうまく乗り越えられたと思います。

ただ、まだ道半ばではありまして。市場や社会、自社にとっても、良い成果物を出して大きな変化を作れたかと言うと、まだその実例が多くあるわけではないので、これからどんどん作っていくフェーズが今ですね。

本当に小さな変化で言うと、新しく入社したメンバーに向けたウェルカムカードを中途入社のデザイナーがデザインして配布したり、来客用のお水のボトルデザインを手掛けたり。そういう小さなところから、一つ一つ変えていこうとしています。あとはちょっと足が長い、コーポレートブランディングのプロジェクトをデザイングループ全体で推進しています。

―――コーポレート全体のデザインから変えていこうとされているんですね!

小川さん

そうですね。中途のメンバーや専門性の高いメンバーがジョインしたことによって、現在はコーポレート全体における「当社の独自性」や「らしさ」、「際立たせていく差別化要素」といった会社の根本的な部分の見直しから取り組めています。

表層を良くすることは早くやろうと思えばできるのですが、本質的にブランディングを成功させるために経営とともに議論しつつ、全社レベルでじっくり検討を進めています。

―――もう一つ、ネットプロテクションズと言えば「ティール組織」の模範のような企業だと思いますが、ティール組織だからこそ作れているデザイン組織はどのようなものなのでしょうか?

小川さん

デザイナーはマーケティングや営業などと比べると、すでに要件が決まったものを渡されたり指示を受けて動くことが多い傾向にあると思います。

当社はそこの隔たりがほとんどなく、「デザインの側面から事業をどうしていきたいか」という議論に参画しやすい状況、デザイン組織から事業戦略や経営戦略をアップデートしに行く機会が十二分にあります。非常に風通しが良く、主従の関係にならず、目的を自分たちで進化させていける。そういうところは魅力だと考えています。

なので本質的に経営戦略、事業戦略を踏まえた上でデザイン機能を推進したいと考えているデザイナーにとっては、非常にマッチするチームだと思いますね。

―――実際にデザイン組織から事業戦略をアップデートしにいった具体例はありますか?

小川さん
先ほどお伝えしたコーポレートブランディングのプロジェクトでは、 デザイングループから4人アサインされています。会社として非常に重要度が高いプロジェクトにデザイングループのメンバーがジョインできているのはとても良い状況です。

あとは「atone」の事例で言うと、新しい事業・サービスを企画しようとした時、その物を作りきる前にまずお客様のニーズを調査して、サービス体験を作っていくフェーズからきちんとデザイナーが入れているところも非常に大事なポイントですね。

―――逆に難しいなと感じている部分はありますか?

小川さん
意思決定をパスしていくことは、正直に言うとかなり難しいですね。今、その正解を探しに行っているタイミングです。

ティール組織とは「各機能ごとの役割分担がはっきりしていて、それぞれ信頼してパス回しをしている組織」であると思っています。 そういう意味で、デザインというテーマにおいて必要な役割をまずきちんと定義して、会社の中に伝えていくことからだと思っています。それができれば、意思決定もよりスムーズになってくると思っています。

まずは挑戦ですね。ティール組織においてデザインの意思決定をする難易度は非常に高いと思っています。

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求めるのは「一流のものづくり」ができるデザイン力

―――今までのお話を踏まえ、今後どのような方と働きたいと考えられていらっしゃいますか?

小川さん

デザインという意味でも、会社全体としても、良い意味で変革期を迎えています。事業が非常に広がりを見せてきていることもそうですし、「NP後払い」を始めとして「NP掛け払い」や「atone」といったサービスが今後成長していくビジョンも見えています。 コミュニケーションデザインもプロダクトデザインも洗練させて、一貫性を持ってお客様との接点を創出していくことで、よりメジャーなサービスにしていくことができると考えています。

そんなフェーズに対して面白さを感じてくださる方だと非常にありがたいですね。社会に対して影響力を発揮していく製品に対するブランディングやデザインに関わりたい、デザインの一手段のみならず事業や経営にまで欲張って視野を広げてやっていきたいという方に対しては、非常に広く機会を提供できると思います。

それらがうまく設計できればあっという間に広がるかもしれませんし、ちょっとしたことでもつまずいてしまうと、金融というサービスの性質上、お客さんの信頼を失ってしまうかもしれません。一貫性を持って、一流のものづくりをしていきたいです。

―――すでにメジャーなサービスに携わりたい、ではなく、自分が携わるデザイン次第でサービスを成長させていく……。

小川さん
おっしゃる通りです。まだまだ手探りな側面もありますが、そこはしっかり経験者の方々を組織の中に入れていきながら、レベルを上げていきたいと思っています。中途採用を強化したことで、去年度から34名ほど採用でき、組織の半分ぐらいは現在経験者で構成されているので、非常にバランスが良くなってきたところです。

当社への応募を検討してくださっている方がいらっしゃいましたら、一緒に市場と顧客に支持され、愛されるようなブランドをともに作っていきましょう!

―――ありがとうございました!

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この記事を書いた人

HIGH-FIVE編集部
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