アニメプロデューサー・小池隆太の考える東映アニメーションの魅力|大手ならではの安定感と、スモールスタートへの理解

公開日:2023/01/06

変更日:2024/10/19

世界に誇る企画製作力で、「ドラゴンボール」「ワンピース」「プリキュア」シリーズなど世代を超えて愛されるアニメーション作品を製作し続ける東映アニメーション株式会社。

2023年2月4日(日)・8日(水)に開催される採用説明会に先駆け、実際に東映アニメーションで活躍中のプロデューサーに特別にインタビューさせていただくことができました!

今回ご登場いただいたのは、12月3日に全国公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』にも携わられた小池隆太プロデューサー。「突き抜けたクリエイティブって奇跡なんですよ」と語る彼から見た東映アニメーションとは……?

PROFILE:東映アニメーション株式会社 プロデューサー 小池隆太
2017年にキャリア採用で入社。アシスタントプロデューサーとして、デジモンアドベンチャーtri.等に携わり、2022年12月3日(土)公開の映画『THE FIRST SLAM DUNK』では音楽プロデューサーなどを担当した。

コミュニケーションを密に取りつつ、皆で合意して進んでいく

―――本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、まずは小池さんのお仕事についてざっくりお聞かせいただけますでしょうか。

東映アニメーションのプロデューサーの役割は様々(TVシリーズや劇場作品、海外向け作品、その他など)あります。僕は今劇場作品を担当していて、企画立案から宣伝・マネタイズまで全てにコミットできるプロデューサーになりたいと思い日々取り組んでいます。

―――企画製作のみならずマネタイズまでご担当されるんですね……!

そうですね。出来上がったアニメをどこで流して、何で(利益を)回収するのかまで設計する感じです。例えば、YouTubeで配信してそこで有名になったIPを商品化していきましょうとか、一方でYouTube自体がマネタイズになっているパターンもありますし。3年前とか4年前ぐらいの話だと、配信サービスでオリジナル作品を作って販売するっていう一次利用のところでビジネスをしましょうとか、その時々によっても流行りはあるんですけど。

―――現場の制作スタッフさんとの絡みやチームの状況に関してはいかがですか?

製作スタジオが大泉にあるんですが、密に連携は必要なので定例会をやっています。以前は毎週何回もリアルで会っていたんですけど、ここ3年ぐらいの話で言うと、僕が携わっている作品についてはほとんどリモートになりました。

紙が完全にゼロなわけではないですが、基本的にはクラウド共有ツール上でデータ管理しています。納品日前にはいつでも声をかけられれば話せるよう、自主的にZoomを常時接続にしていたスタッフもいて、このコロナ禍において「デジタルでものを作る」っていうのがだいぶ進んだかなと。

―――お話を聞く限りでは、リモートになることの弊害などは特になさそうなのかなと感じます。

もう慣れたというか……3年って長かったじゃないですか。だから本当にもう慣れましたね、すごい普通。『THE FIRST SLAM DUNK』 の仕事に関しても、リモート環境になってから(井上雄彦)監督とお仕事するのは初めてでしたが、監督ご自身がもうめちゃくちゃデジタルリテラシーが高い方だったので。そのあたりはスムーズでしたね。

―――そうなんですね。では、社内のコミュニケーションみたいなところで言うと?

ここ(中野オフィス)ってワンフロアじゃないですか。営業部門や管理部門の人が顔の見える場所にいるので、コミュニケーションは取りやすいかなと思います。他のアニメーション会社さんを全部知ってるわけじゃないですけど。

―――お仕事環境に紐づいて、「制度」という観点ではいかがですか?

従業員の成長を支援する仕組みがあって、例えば社内には英語力を求められる職種もあるので、英会話の勉強をしたい人は支援をうけることができます。あと、ファミリー・キッズ向けの作品が多いこともあり、従業員の家族にも配慮がなされているなと感じますね。

―――ちなみに風土や社風はどのような感じですか?

風土的には、ワークフローがちゃんと決まっていて皆でそれをキチキチっとやっていくような印象です。ちゃんと合意して皆で進んでいくっていう、それが良いところでもあり、課題でもあるなと。

これは印象論ですけど、決められたワークフローの中で工場のように作っていると、100点は取れるかもしれないけど120点って生まれない感じしますよね。周囲と調和するバランス感覚はもちろん大切ですが、こういう仕事なのでやはりクリエイティブな発想も大切。

だからこそ個人的には、今の東映アニメーションに新しい風を入れてくれる方が入社してくれたらいいなと思ってます。創造力のある方、専門性の高いスペシャリストの方とか。

スペシャリストとしてアシスタントから勉強させてもらえたのが良かった

―――続いて小池さんご自身についてお伺いさせてください。以前は音楽業界にいらしたと伺ったのですが、いったいどういう経緯で今のキャリアに至るんでしょうか?

僕なりにアニメ製作に携わりたいっていう思いがあって、前職の音楽の会社を辞めようって決めたぐらいのときに転職エージェント経由で東映アニメーションが声をかけてくれました。

雑談を交えながらも本音で話してくれる面接官だったんですが、僕的にはそれがすごく正直で面白い人だなと思ったんですよね。当時は僕も前職の仕事がめちゃくちゃ忙しかったんですけど、そんな中で受けた面接の時間が楽しくて。

―――好印象だったんですね。最初からプロデューサー志望だったんですか?

そうでした。前職では音楽を作ってたんですが、もともとアニメは好きでよく見ていたから、作ってみたいなと思って。アニメにも音楽は関係していますから、音楽も含めて「アニメ作品」を作りたかったんです。

―――なるほど!他に近い業界で受けていたのは?

その前に1社、音楽ゲームアプリの制作プロデューサーで声をかけられていました。

―――では、他社も受けられていた中で東映アニメーションを選ばれた理由というのは?

アシスタントから始められるのが良かったです。業界は違うもののプロデューサーの経験があったからか、他に声をかけてくださった会社は始めからプロデューサーや管理職でのオファーだったので。

中途採用は即戦力を求める会社も多い中、僕がアシスタントから始められたのは、東映アニメーションは企画部の人数が多く経験豊富な先輩がいる環境というのもあるかもしれないですね。

―――それは入社したくなりそうです……!他に東映アニメーションのおすすめなところはありますか?

やっぱり、企画のスケールはしやすいなと思いますよ。会社が大きいので営業も世界中に展開して、IPもカタログが豊富じゃないですか。企画を広く展開させやすい環境だと思うんですよね。長年積み重ねてきた信頼があって、経営も安定している方だと思いますし。わかんないですけど(笑)。

あと、今の企画部の方針はすごく良いなと思います。スモールスタートへの理解があるんですよ。他社では「今年はこれを当てるんだ」という選択と集中が働く話もよく聞きますが、そうなると1つの企画を通すのにも社内にライバルがいるし、人的リソースもある程度確保しないといけない。その点、うちでは「まず試してみること、挑戦すること」も比較的許される気がします。その分畳む判断も求められると思うんですけど。

上層部も「行動責任は取りなさい、結果責任は取ります」って言ってくれていて、全体的にチャレンジしやすい環境ですよね。

奇跡を起こすクリエイティブは「伝統」を越えたところにある

―――プロデュースしたい企画や夢を持っている方からしたら、すごく魅力的な環境ですね。

あと経験豊富なプロデューサーということで言えば、うちのレジェンド的存在で業界内でも名の通ったプロデューサーが在籍しています。そういう方たちのお話を聞けるのも良い環境かもしれませんね。

ただ、僕は突き抜けたクリエイティブって奇跡だと思ってるんですよ。年間100本ぐらいアニメがあったとして、興行収入20億円を超えるのは数本とかしかないわけで。しかもその中の大半は既に確立してるIPものなんですよね。だとしたら、新作でそこ(のレベル)に行く確率ってもうかなりの奇跡じゃないですか。

その奇跡って、僕は「伝統を越えたところ」にあるんじゃないかと思っているんです。だって、ミラクルがそこ(伝統)にあるんだったら、毎年その奇跡が作れてると思うんですよ。でもそうではない。突き抜けた作品を作るにはきっと何か変わった、新しいことをしないといけなくて。

―――じゃあもし小池さんが面接されるとしたら、ちょっと変というかやっぱり「こいつ奇跡起こしてくれそうだな」みたいな人が来てほしい?

そうですよね、それは。性格が変とかそういうことじゃなく。

『THE FIRST SLAM DUNK』で一緒に動いた優秀なアシスタントプロデューサーがいるんですけど……なんて言うんですかね、いわゆる面接映えする感じでもないんですが、僕は彼のことをクリエイティブな人だなと思っていて。

―――と、言いますと。

彼 『THE FIRST SLAM DUNK』のアフレコのとき、ケータリングでなんかちっちゃいカニの佃煮みたいのを買ってきたんですよ。

―――アフレコのお弁当でちっちゃいカニ……?

変わってますよね(笑)。それで、毎日数えきれない人数と会話をしている井上監督含め、スタッフ全員が一発で名前を憶えて「明日は何買ってきてくれるんだろう」って。次の日もなんかよくわかんない生春巻みたいなの買ってきたんですけど(笑)。

それで彼に話を聞くと、小さいこととか些細なことでも、例えそれがケータリング選びだったとしても、「何かを考えた感じ」があった。それが彼なりの存在感だったんですよね。それってクリエイティブだなって。

実際、元々彼は制作現場にいてプロデューサーは未経験だったのですが、もう何個も何個も企画を出して、既に自分でも動かしているし、使ったことのないツールも自分で手を動かしながらシャカシャカ覚えていってて。このままいけば何でもできるようになるんじゃないかなと。

他の部署からも優秀って声が聞こえてくるくらい、彼は評判がいいんです。まさに彼みたいな方に来てほしいですね。

―――それでは最後に、応募を検討している方々に向けてメッセージをお願いします。

やりたい企画がある人は応募してください」ですかね。挑戦させてもらえる環境はありますので、やりたい企画がある人はぜひご応募ください。お待ちしています。

―――有難うございました!

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HIGH-FIVE編集部
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