「言葉を選ばずにいうと、見栄えが良ければいいという世界ではないんです」シフト管理SaaSで飲食・小売業界をDXする株式会社クロスビットがプロダクトデザインに求める課題解決志向とは
公開日:2023/08/08
変更日:2023/11/10
全ての働く人に優しい社会を創るため、クラウドシフト管理システム「らくしふ」を始めとしたサービスを展開する株式会社クロスビット。少子高齢化による労働人口の低下と働き方の変化を受け雇用主のシフト管理コストが増加する中、「らくしふ」導入事業者が17,000事業所を突破し順調に業績を伸ばしています。
より事業をスケールさせるべく幅広い職種で積極採用を進めている中、今回は最も注力している職種の1つ「プロダクトデザイナー(UI/UX)」についてお話を伺いました。プロダクトデザインの経験は問わない代わりに最重要視するという「課題解決志向」とは?
PROFILE:株式会社クロスビット CPO(Chief Product Officer)高木 勇輔
2022年4月、プロダクトマネージャーとして参画。2022年10月よりCPOとしてプロダクトマネージャー/デザイナー組織を管掌。
目次
職能を超えて、お客様のために一丸となってプロダクト開発する
―――――高木さんの思うクロスビットのチームの魅力はどういうところですか?
まず、チームの魅力の1つめはプロダクトマネージャー、デザイナーとエンジニアが一体になってプロダクトを作り上げていく文化が強いことです。プロダクトごとに開発チームが社内に3つあり、職能としてのかたまりで動くというよりは、職能横断で良いプロダクトを作っていく感じです。
プロダクトマネージャーが課題や要件を起案しデザイナーがFigmaでデザインを起こすのですが、それぞれが持ってきたものに対して「もっとこうした方がいいんじゃないか」「間に1枚差し込んだ方がいいんじゃないか」のように開発チーム全員で議論します。言われたものをただ作るというよりも、チームで一丸となって良いものをお客様に提供しようという文化が強いです。
2つめは、我々はデザイナー採用においてプロダクトデザイン……いわゆる機能性を持ったUIUXデザインの経験を必須にしていません。とはいえLPをはじめとするWeb制作のご経験がないと厳しいですが、それさえクリアしていればチャレンジする環境を提供可能です。
先ほど申し上げたデザイナー2名も、どちらも元エンジニアだったり、紙やLPのデザインをしていたところからチャレンジしてプロダクトデザイナーになっています。そもそも会社のカルチャーとして未経験の領域にチャレンジすることへの抱擁力が高いので、入口の時点でプロダクトデザインのご経験がなかったとしても、そこに自身のwillを持って来ていただける方に関してはご縁次第で相互に機会提供できると思っています。
3つ目は、「お客様の声が届きやすい」ことです。我々はシフト管理のSaaSがメイン事業になり、大手の飲食店に導入していただいていることから担当プロダクトを身近に感じやすいです。また、toC向けサービスであればユーザーアンケートに協力してくれる方を集めないといけない場合でも、我々はtoB向けサービスでお客様と直接繋がっています。そのため、お客様からのレビュー・壁打ちといった相談を直接依頼しやすいんです。
プロダクトサイドからビジネスサイドに「こういう内容ヒアリングできる人いるかな?」という話を持っていくと、「こちらのお客様に提案してみます」のように、すぐに動いてくれます。
―――――職能はもちろん、ビジネスサイドとプロダクトサイドの枠まで超えて全員でプロダクトを作っている感じが味わえそうですね!自分の役割から滲み出して、もっと根本のところから関わりたいといったマインドのデザイナーさんにはすごく楽しい環境のように思いました。
もちろん、各自の専門分野でやるべきことはやった上でというのが前提ですが、色々な部分に自ら滲み出していくのは非常にウェルカムです。そういう仕事の仕方に関心がある方は、かなりフィット感があるのではないかと思います。
―――――御社の魅力という点で、noteで拝見した高木さんとCTOアモルさんのお話も素敵だなと思いました。
ああ!「柔軟な環境でありながらもマネジメント体制はちゃんとしていかないと」という話ですね。
―――――かっちりした大手企業から自由なスタートアップに転職して、思った以上のギャップについていけないケースはそれなりの数あると思っています。だからこそアモルさんとのお話に共感しましたし、素敵な差別化ポイントなのかなと思いました。
それは確かにありますね。うちはスタートアップなのでリソースは大手より少ないし、取捨選択しないと勝てない。大手企業出身の自分やアモルはあるべき姿や伝え方を分かった上で「我々のフェーズだとこう崩した方がいいよね」という部分をうまくチューニングしているのかなと。そこがマネジメントの安定感には繋がってるんじゃないかなと思います。
―――――スタートアップの自由活達さもあり、大手企業のように地に足をつけて整っているところもあり。双方の“いいとこどり”ですね。
まだまだなことはたくさんあるんですが、とはいえちゃんと優先順位をつけてあるべき姿は見失わないようにというところで、ガバナンスが効いていると思いますね。
さらに差別化ポイントをあげるとすると、うちのエンジニアは本当にハイクオリティなんです。欲しいと言ったものはどんどん作ってくれる。プロダクトマネージャーやデザイナーからすると、描いたアイデアがすぐに形になって、すぐに世の中にリリースされて、お客様から声をもらって……という、日々本当にプロダクトが進化していることを実感できるのは嬉しいですよね。
―――――技術力が高いゆえに、考えたものに対し「そんなの無理だよ」ではなく「全然作れるよ!」と言ってもらいやすいと。
そうです。そもそも「無理だよ」みたいな言葉を聞いた記憶があんまりなくて。「それならこうした方が簡単にできるよ」や、「それ大変だけど本当に必要?」みたいな話はありますが、その場合は「これを今優先してやるべきなのか否か」を建設的に議論します。「お客様の課題解決をしたい」という共通の気持ちが根本にあるので。
デジタル化が進んでいない飲食・小売業界を支援したい
―――――ところで、そもそも高木さんご自身が入社されたきっかけはなんだったのでしょうか?
以前から「SaaSっていいな」とは思っていました。SaaSのプロダクトって、お客様に価値を提供し続けないと簡単に解約されちゃうんですよ。システム作っておしまいとか、納品しておしまいではなく、継続的にご利用いただくことで対価をいただくモデルになるので、「お客様に価値提供をし続ける」ことにすごくフォーカスできるビジネスモデルに惹かれました。
その上でなぜクロスビットなのかというと、飲食店・スーパー・小売など「現場で働く方」がいる企業の利益改善を支援している中で、言い方がすごく難しいんですが……そういう職種の方はデスクワーカーとはまた違う大変さがあると感じるんですよね。
「現場で働く方」のおかげで、コンビニでいつでも便利に買い物ができたり、飲食店で楽しく美味しいお酒が飲める。すごく大切なお仕事なのにも関わらず、飲食店・スーパー・小売などの業界ってまだまだデジタル化が進んでいないんです。そういった、生活に身近な業種の方々に対してDXを進めていくという部分で価値提供できる点に、すごく共感できたためです。
加えて色々な事業が可能性として考えられる環境であることも、クロスビットを選んだ理由の一つです。我々のメイン事業はシフト管理のプロダクトですが、新しく労務管理のプロダクトを作ったり、その前だと採用管理のプロダクトを作ったりもしています。「働く」にまつわる物事がたくさんある中、どれがお客様の課題になっていて、何が変わると嬉しいのかというところを探り出し、幅広い打ち手からどれが良いのか考えていくところが面白いところですね。
あともう1つ、ありきたりな話ですが「人がいい」からです。例をあげると、我々は現在フルリモートなんですが、エンジニアとかデザイナーの方は地方に住んでいる人も多いですし、業務委託の方だとカナダ在住の方もいまして。
―――――カナダ!?
フルリモートであっても、しっかりと相手の話を聞いて、そこから取捨選択して、建設的に会話するということが普通にできている。相手を尊重してしっかりとコミュニケーションを取れる方が揃っていると思います。
徹底的に現場を知り、ITリテラシーがなくても「使ってもらえる状態」に
―――――シフト管理システムそのものは今までにもあった中で、後発の御社プロダクトが急速に売上を伸ばして、導入事業者数も17000事業所突破されている。その要因は何なのでしょうか?
SaaSが浸透する前から世の中には企業ごとに個別開発されたシステムがあったんですが、あまり使われていないというのが実態のようです。
というのも、世の中のシステムの中には「いろんな機能がある中でシフトも作れます」のものがあるんですよ。対して我々はシフト管理にまずしっかりとフォーカスしエネルギーを割いている。現場の声や課題にしっかりと耳を傾けながら、一つひとつの機能を現場のオペレーションに合うよう最適化しており、実際お客さまからも「全然違うね」と言っていただいています。その部分に注力してきたプレイヤーが今までほとんどいなかったというのは、要因として1つあるのかもしれませんね。
また、企業ならではのエリアごとの店舗数・各店舗の売上の把握、またきちんと労務やコンプライアンスが守られた上での利益の管理なども組織的にやらないといけない中で、組織の階層構造や企業ごとに異なる店長権限の制御など、実際の業務に寄り添った形でプロダクト機能を提供している点にもご支持をいただいています。
シフトを管理するということは、裏返すと人件費に直結します。本部やエリアマネージャーの方がそこをしっかりと管理することが、経営に繋がっていく。またアナログだったシフト調整がうちのプロダクトで効率化されることで働く側にも嬉しい変化が起きたりと、シフト管理担当の方だけでなく、経営視点や働いている人視点にまでプラスの影響があるんです。
あとは、飲食店や小売で働いてる方は普段からパソコンでガリガリ事務作業をしているわけではないので、基本的にITリテラシーはそんなに高くないというのが実情です。そのため、我々のプロダクトはみんなが使い慣れたLINEで操作できるようにすることで導入ハードルを下げています。あとカスタマーサクセスやサポートといったプロダクト外の部分でもフォローアップしていますね。プロダクトを用意しただけでやりきれない部分も当然あるため、使っていただける状態にまで持ち上げていった結果が今の状態かなと思っています。
―――――なるほど!とことんお客様の現場を知り、ニーズに忠実に合わせに行った結果ですね。
そうですね。ニーズに合わせるといっても、個別のカスタマイズ要望を全てお受けするのではなく、基本的なSaaSの提供価値(汎用化・一般化して全体でできるようにする)は守り抜いています。それは逆に作る側からすると難しいことでもあるのですが、それも含めて面白い仕事と思っていただけると良いのかなと。
お金持ちよりも、ちょっと報われにくい方々に価値を提供し続けたい
―――――クロスビットで実現したい未来をお伺いしたいです。どういう未来に向かっていきたいと思ってらっしゃるのでしょうか?
「働く」ことって人生の多くを占めるファクターで、生活を立てていくことの原動力にもなるので、すごく大切なことだと思っているんですね。一方で飲食業界や小売業界って世の中的になかなか報われにくいというか、今でも労働時間がきつかったり賃金が正直そんなに高くない現状がある。でもやっぱり、すごく大切なお仕事だと思うんですよ。
そういう方の助けになりたいと思っています。お金持ちをさらにお金持ちにすることには興味がなくて、どちらかというとちょっと報われにくいような方々に対して価値を提供したい。そういった部分が弊社のミッションに繋がってきていると思いますし、共感してくれる人が集まっている気がします。
―――――なるほど!お話を聞いてワクワクしてきました。やはり色々とチャレンジしたり、自ら前向きに取り組むような方がクロスビットには合いそうですか?
そうですね。もちろん一定のテクニカルレベルは当然必要ですが、スキル的にもカルチャー的にもどちらかというと「お客様の課題を解決したい」といった課題解決志向を最重要視しています。
作っているものがいわゆる業務系SaaSなので、お客様の業務内容はもちろん「実際に使う人はどんな人か」「どういうシーンで使うのか」というところをちゃんとイメージしないと、良いものは作れないんです。言葉を選ばずにいうと、デザインと言えど「見栄えが良ければいい」といった世界ではなく、むしろ見栄えより「ストレスなく使える」ということが求められる世界。そういう意味で、課題解決志向が根本にある方はマッチする部分が多いんじゃないかと思います。
デザインって、あくまで1つの手法にすぎないと思うんですよね。サービス改善するために必要であれば、デザインだけにとどまらず「ユーザーインタビューをやりましょう」といった話は自ずと出てくる。目線さえ合っているなら、会社としても何でもどんどんやっていけばいいよねと。
そういうこともあって、課題解決志向はかなり重要だと思っています。
―――――確かに課題解決したいという想いさえあればどんどんアイデアも出てくるでしょうし、「こういうところが足りないからやってみたい」という話も出てきそうです。
そうですね。言われたものを作るというのもそれはそれでやる必要はありますが、それだけだとカルチャーとしてギャップがあったり、 双方物足りない部分が出てきたりするので。
―――――では、そういった未来に向けて新しく入られるデザイナーさんに期待することは?
その方のデザインの知見やスキル感にもよると思うんですが、まずは現状のデザインシステムのキャッチアップと、プロダクトの理解です。マニュアルもテスト環境も用意しているので、触ってほしいですね。
そして、不明点やわからないところがあれば出してほしい。それが改善に繋がるかもしれないし、まずはプロダクトをしっかりと知るところからですね。これがないとその後何をするにしても良いものができないというか、言われたものを作ってしまう状態になってしまうので。
あとは志向性にもよるかもしれませんが、お客様との商談や受注した後の説明会で実際にお客様を肌で感じていただきたいです。先日も自分とデザイナーで導入2ヶ月のお客様にヒアリングして、「実際どうですか?」と話をしてきたんですが、こういう機会があるとすごくお客様のことを考えますし、気づきが大きくなるんですよ。
ちなみにプロダクトデザインのご経験が少ない方とご縁があった場合も含めて、先輩デザイナーをメンターとしてつけてキャッチアップのための伴走はしっかりしていくので、あまり不安になるようなことはないのかなと思っています。
―――――ありがとうございます。もう少し先の未来ではいかがですか?
お客様の課題解決ができていればいいなと思います。ターゲットとなるお客様(報われにくい業界)が大きくぶれることはないと思っているので、ユーザーヒアリングも含めて「こういうところにペインがありそうだから、こういうことをやった方がいいんじゃないか」という話を皆でどんどんしていきたい。
職種とはあくまで「専門性」であり、お客様の課題解決や価値提供のために職能があるだけに過ぎないので、あまり職種にとらわれずに考えたりディスカッションしたりして、一緒にそれらを実現していけたらいいなと思っています。
―――――ありがとうございました!
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この記事を書いた人
HIGH-FIVE編集部
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