【東映アニメーション中途採用説明会レポート|後編】他社には真似できない強みと歴史を武器に“新しいアニメーション”へと挑む!
公開日:2023/03/30
変更日:2023/12/13
『ドラゴンボール』『ワンピース』『プリキュア』シリーズなど、これまで多くのアニメーション作品を手がけ、映画『ONE PIECE FILM RED』『THE FIRST SLAM DUNK』の大ヒットが記憶に新しい東映アニメーション株式会社。
同社としては初となる職種を広くまたいだ中途採用イベントが、2023年2月4日(土)・8日(水)の2日に渡って行われました。
今回は8日に行われた説明会より、製作スタッフの登壇パート「現場からみた東映アニメーションでのお仕事」【後半パート】についてお届けします。
目次
前例のないところから現地の文化を吸収し、海外ビジネスを創る(池澤シニアプロデューサー)
登壇者:東映アニメーション株式会社 シニアプロデューサー(海外企画) 池澤良幸
2005年にキャリア採用で入社。海外企画室室長、シニアプロデューサーとしてロサンゼルスに企画開発会社を展開し、本格的にハリウッドビジネスに進出。
東映アニメーションの中でもハリウッドビジネスを手掛ける池澤さん。元々アメリカの大学で映画の勉強をされており、お世話になった著名な監督に「自国の文化を知らずに勝負するなら、結局勝てる天井は決まっている」「日本の中でトップになったら、ハリウッドの方から迎えに来るよ」と言われたことをきっかけに、日本の映像制作会社に飛び込んだそう。CSの製作会社で現場からスタートし、東映のグループ会社を経て海外業務を希望して東映アニメーションに移りました。
現在はシニアプロデューサーとして車田正美先生の作品「聖闘士星矢」の実写映画とCGアニメーションでのリメイク企画を担当。作品をお預かりし、世界中に届けてファンを増やす「IP運営」を進めています。またアメリカを含めた海外向けビジネスとしてオリジナルCGアニメーションの劇場版製作も併せて担当しています。
ロサンゼルスに企画開発の拠点を置き、アメリカの最前線で活躍するアーティストと一緒に作品を作りつつ、プロダクションは再び日本に持ってきて進行するという、グローバルな作り方を進めているチームです。
◆担当業務について
海外企画室のシニアプロデューサーの仕事は「どういった企画が今の時代で共感を受けるのか」を考えるところから始まっています。
現場での製作はもちろん、ビジネスキームの構築や予算管理・資金調達、また海外は契約書を元に業務が進むため法務関係、さらにそれを自分で売らなければならないのでセールスと、業務の幅は多岐に渡るそう。
同じチームでハリウッドのみならずフランスでも同様の業務を担当しており、また部署は異なるものの中国や中東で現地製作・公開・放送を目指しているチームもあるとのことで、会社としてもそういったグローバルな取り組みをどんどん広げていく方針のようでした。
◆大変なこと・やりがい
池澤さん「いつもネックになるのは、“日本ではなかなか前例がない”ということでしょうか」
日本の漫画・アニメは海外でも人気なため映画化される作品は多いものの、ほとんどが「映画化権」をライセンスするのみで、製作は現地という形がメイン。しかし東映アニメーションは製作会社なので、ライセンスのみならず製作まで担当します。つまり、前例のないところに入っていき、現地の文化や求められるものを吸収しながら製作していく作業が求められることになります。
池澤さん「大変なことは多いですが、それが形になったとき、日本のアニメ人気をそのまま海外に届けて喜んでもらうのとはまた違った感動が得られる。それがこの仕事のやりがいなのかなと思っています」
◆一緒に働きたい人物像
日本のIPを自ら作り、世界中のお客様に届けることを目標としている海外企画室。
池澤さん「英語力は基本なんですが、ファイナンス・製作・セールス・マーケティングなど特化したスキルを業務全般に広げ活かしていただけるような方をイメージしています」
このコロナ禍において映像業界そのものが劇的に変化し、製作現場でもCGやアニメーションに海外・国内問わず大きな注目が集まっているそう。
池澤さん「私たちも日々新しいことに直面しているので、皆さんの培ってきたスキルを活かしながら、一緒にチャレンジ精神を発揮していただけるような方とご一緒できればと思っております」
アニメ製作における充実の設備と、長く働ける制度環境 (製作部長代理:今村)
登壇者:東映アニメーション株式会社 製作部 部長代理 今村幸也
2009年CGプロデューサーとして中途入社。デジタル映像部で作品制作とワークフロー開発に従事。現在は製作部テクノロジー開発室でデジタル作画を中心に開発業務を主たる業務としている。
製作部の今村さんも、2009年にCGプロデューサーとして入社したキャリア採用組。現在はテクノロジー開発推進室で、デジタル作画や研究開発を中心に担当しています。今村さんからは、製作スタッフにとってメインの仕事場となる大泉スタジオを含めた製作部全体のご紹介がありました。
◆大泉スタジオの特徴
東映アニメーションにおける作品製作は、全部署が関わる“全員野球型”。製作スタッフは大泉スタジオに集結しており、スタジオの1箇所に集まって作業していることが多いそう。社内のハードディスクは年に4~5ライン+劇場作品2本分かつCG作品がまかなえる容量が担保され、 デジタル作画やCGの機材はできるだけ希望のものを使えるなど、クリエイターに嬉しい環境が整っています。
今村さん「私が当社に入ってまず驚いたのが、“定年退職される方が普通にいらっしゃる”こと。作画でも演出でも管理系の方でも、ちゃんと定年退職を迎えて辞められる方が多いというのが、別のアニメ会社から入ってきた自分の目線としてはすごく新鮮で驚きました」
◆製作部の特徴
最近「THE FIRST SLAM DUNK」「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」が話題となったように、東映アニメーションはフル3D作品でも2Dアニメに劣らない技術を持つ、日本でも珍しい会社。製作進行職が分業制である点も独特で、製作進行・美術進行・仕上げ進行というように各パートで分かれているのが特徴です。また最近はデジタル作画ツールやフル3Dに作画のようなタッチを入れるツールなどの開発にも力を入れています。
なんとアニメーションだけではなく、東映株式会社からの依頼で実写映画のCG製作まで担当しているそう!
◆使用ツールと製作体制
2D系に関してはCLIP STUDIOをメインにRETASシリーズとAdobeシリーズ、3DCG系はMAYAをメインにHoudiniやNukeなどを使っていることが多いそう。また社内に開発部門があり、そちらではUnreal Engine、Unityなどを使っているとのこと。
今村さん「管理系は、3DCGにちょっと寄ってしまうんですがShotGridをメインに使ってまして、今2Dの方でも使えないかというところで少し実験的に使ってたりします。リモート業務に関してはSplashtop Businessを使用しています」
製作部は図のように1部8室11課の体制で、第1から第3室の下にスタッフルームというものがあります(2023年2月時点)。各スタッフルームは基本的に緑枠の絵コンテから原画までの作業と、その後完成までのチェックの工程を担当しており、青枠の動画・仕上げ以降の工程については全作品を通して各課で担当(動画・仕上げ担当、美術担当、撮影担当など)を立てるそう。こういった製作体制が“全員野球”たる所以なんですね。
◆求める人材
今回特に必要とされている職種として、まず「製作担当(ラインプロデューサー)」および「製作デスク」が挙げられました。今まではデスク業務は製作担当が兼任していたそうですが、最近明確に「製作デスク」職として立ち上がったとのこと。また、CGの方でもラインプロデューサーを募集しています。
「CGクリエイター」に関しては、モデリング・リガー・VFX・その他もろもろの各種スペシャリストを募集中。
今村さん「特に“私はもう一生アニメーターで生きていきたいです!”という方は、こちらのスペシャリストの方にご応募ください」
「開発プログラマー」はフルCGでも2Dでも非常に足りていないとのことで、特に積極採用中です。
今村さん「開発プログラマーが各セクションを繋ぐツールを作っており、そのあたりを支えてくれるエンジニアの方を絶賛募集しております。ちなみに私の室です(笑)」
◆開発実績について
開発の具体例として、実際に東映アニメーションで自社開発されたツールの一部をご紹介いただくことができました。
一般的にはまだ紙のままのタイムシートをデジタル化した「デジタルタイムシート」。こちらはなんと無償で業界に配布されているそう!
今村さん「こちらのサポートも結構大変になってきているので、サポートしてくれる人がいると大変助かります」
製作管理用のShotGridを社内向けにカスタマイズしたもの。絵コンテのコマをそのまま原画撮影に出せるレベルで切り出し整える自社ツール「コンテスライサー」で切ったコマがここに全て流し込まれ、各種ツールを連動させて作業を進めていきます。このようなカスタマイズツールも自社で開発されています。
3DCGのビルドツール。ShotGridから「このカットを作りたい」と指令を出すと、全データをサーバから集めてきてディスパッチャーに投げる仕様です。
現在開発しているのは、リアルタイムエンジンからのLO作成のツール開発。画像は作画スタッフに提供するアプリです。さらにAI開発なども行っています。
今村さん「今回は中途採用なので業界経験者、できれば即戦力に準ずる方。あと将来の管理職候補の方も、部長の方から“ぜひ応募してほしい”と聞いております。いろんなものを開発しながらデジタル化や作り方を変えている最中ですので、ぜひご興味ある方、ご応募いただければと思います」
【編集部まとめ】日本でも珍しい技術力とクリエイターに寄り添ったサポート体制が魅力
予想を上回る応募により恐縮ながらご案内人数を限っての開催となりましたが、参加いただいた方々の熱意はすさまじく、この後の質疑応答コーナーで取り上げられた質問はなんと10問以上(参加できた方の特権ということで、内容は伏せさせていただきますね……!)。 30分近く質疑応答パートを設けていましたが、それでも時間の関係ですべての質問に答えることはできないほどでした。
HIGH-FIVE編集部も今回のレポートにあたり特別に参加させていただいたのですが、企画から映像化まですべて一貫して内製している点や、自社で版権ビジネスを展開し映像化の先まで作品を成長させられる点、長く現役で働けるようクリエイターに寄り添った組織体制、老舗プロダクションの歴史がありながらチャレンジングな社風など、知れば知るほど魅力がたくさん詰まっている企業だと感じました。
東映アニメーションとしてもこのような採用イベントは初の試みだったということで、今回参加いただいたみなさんには、なかなかない貴重な機会になったのではないでしょうか。
東映アニメーションは、今後のさらなる成長に向けてまだまだ積極採用中です!本記事で興味が湧いた方、他の職種も見てみたいという方は、ぜひ下記リンクより求人詳細をチェックしてみてくださいね。
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この記事を書いた人
HIGH-FIVE編集部
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