当たり前にデザインにコミットできる環境、課題解決を楽しむカルチャー。マネーフォワードの“良い意味で大企業らしくない”デザイン組織の魅力
公開日:2025/04/10
変更日:2025/04/10

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに、すべての人のお金の課題を解決する株式会社マネーフォワード。法人・個人・金融機関向けと多岐にわたって60以上のサービスを展開する中、2025年3月には生成AIを活用した連結財務分析ツール「マネーフォワード クラウド連結会計 for GPT」の提供を始めるなど、今なお進化を続けています。
従業員数は約2600名に達し、さらなる成長期を迎えている同社では、積極的に新しい仲間を募集しています。今回はそんなマネーフォワードのデザイナーとデザイン組織について、リードプロダクトデザイナーの酒井さんに詳しいお話を伺いました。
■PROFILE
株式会社マネーフォワード 酒井 芳樹
2015年に千葉工業大学大学院修了。Web制作会社やデザイン事務所でUIデザイナーやUXリサーチャーとして、デジタルプロダクトのデザインを経験。その後、医療系ベンチャー企業の受託開発事業においてデザイナーとして、サービスデザインやユーザーリサーチ、UIデザインを担当。2024年にマネーフォワード入社し、マネーフォワード クラウド連結会計のプロダクトデザインを担当。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。
デザイン室に籍を置き、プロダクトチームを“兼務”する
―――それではまず、ご担当の業務について概要のご紹介をお願いします。
酒井さん
僕はリードプロダクトデザイナーとして、「マネーフォワード クラウド連結会計」というプロダクトを担当しています。いわゆる親会社と子会社など、複数の企業を1つの会社とみなして、グループ全体の財務状況や経営成績を示すために行われる会計手法を「連結会計」というのですが、まさしくその連結会計に使用するためのクラウドツールです。リードデザイナーが僕を含めて2名、さらにデザイナー1名の計3名体制で担当しています。「マネーフォワード クラウド」には他にもたくさんのプロダクトがありますが、それぞれのプロダクトの規模感によって、担当するデザイナーの人数を決めています。
マネーフォワードの中でも法人向けのプロダクトを担当するデザイナーは、プロダクト組織だけでなく、横軸組織である「デザイン室」にも籍を置き、担当プロダクトのチームを「兼務」する構造になっています。マネーフォワードにはプロダクトがたくさんあるので、ユーザーから見たときに全く違うプロダクトに見えてしまわないよう、横の連携を大切にしようというのがデザイン室を置いている理由の一つです。業務の比率としてはデザイン室関連のものが2〜3割、プロダクト関連のものが残りの7〜8割というイメージです。
―――デザイン室としての業務は具体的にはどういったものになるのでしょうか?
酒井さん
ナレッジシェアをメインに、デザイナー間で連携するための取り組みを行っています。例えば僕は会計系の業務を担当するERPデザイン部の所属ですが、ERPデザイン部の定例会が週1、法人向けプロダクトデザイナーの定例会が月1……という感じです。
法人向けプロダクトと一括りに言っても、会計系と勤怠系ではやっていることが異なりますし、プロダクト全体のベースとなる基盤システムや「マネーフォワード クラウド」のデザインガイドラインの作成を担当するチームもあります。ERPデザイン部の中では、ユーザーが感動するレベルの体験の提供やプロダクトを超えた連携を実現するために様々な施策が進んでいて、チームビルディング担当、UIの品質向上担当、リサーチの質向上担当などいくつか分かれているので、いろんな人と話せるようになっています。
また僕は去年個人的に、月1で社内のLT(ライトニングトーク=短いプレゼンテーション)会や外部イベントに登壇するようにしていたのですが、そういったナレッジの発信側になる機会もたくさんあります。
―――デザイン室のメンバーの雰囲気や風土などはどのような感じですか? 酒井さん
前向きな雰囲気をすごく感じます。難しい要求を受けることも多いですし、人間って大変なことが重なると愚痴が多くなることも多少あると思うんですが、ここではそういう話を聞いたことがほぼないですね。皆「なんとかしたい」という思いが強くて、解決するためにはどうしたら良いかという健全な悩みを持っている印象です。
また全員で出社日を決めてランチに行ったり、就業後1杯だけ好きなドリンクを飲めるコネクトエリアで交流したりといった施策は、会社としても推奨されています。どうしてもプロダクト関連の仕事に比重が寄りがちなので、このようにデザイナー同士の横の繋がりを意図的に作っていこうという文化がありますね。
―――素敵ですね!ではプロダクト関連のお仕事に関して、ドメインの知識はどれくらい必要ですか?
酒井さん
やはり最低限の共通言語はないと難しいので、入社前に簿記を取得してこられる方や、入社してすぐに取得される方が多いです。ちなみに僕は、入社前に簿記3級レベルのYouTubeを見て勉強しました。入社後は、かなり手厚いオンボーディングメニューもあり、その中でも最低限の知識をインプットしていただけるので、後でキャッチアップする時間は全然あります。元公認会計士のPdM(プロダクトマネージャー)がいたりもするので、インプットは入社してから浴びるようにできると思います。
ただ、あまり知識を入れすぎるのも良くないんだろうなと思う部分も少しあります。当たり前になってしまうのが怖いというか、あくまで「それって本当に必要なんだっけ」という気づきから業務を効率化していくのが僕たちの仕事だと思うんですよね。会計系のシステムだと、数字の計算ロジックを理解したうえでの設計が必要になる場合があったりするので、数字が苦手という方は少しきついかもしれませんが、そうでなければ入社時はYouTubeで学べるレベルでも大丈夫だと思っています。
―――では、酒井さんが日々のお仕事で大切にしていることはありますか?
酒井さん
デザイナーとして、デザインの力を信じることです。デザイナーの「可視化する力」にはとても価値があると思っているので、議論をきちんと可視化しながら前に進めていくというのはいつも意識していることです。
もう1つは、社会人として当たり前のことを当たり前にやるということです。デザイナーってなぜか特殊な職業に見られがちなのですが、その前に一社会人であり、ビジネスマンです。例えば申請するべきものはちゃんと申請するとか(笑)、そういった土台になるところをきちんとやるということを意識していますね。
―――デザイナーさんが大切にしていることに社会人の基礎の部分を挙げる方は珍しい気がします……!何かきっかけがあったのですか?
酒井さん
僕は新卒入社した会社で受託開発の現場にいたので、お客様の前に立つ機会も多かったんです。お客様からしたら担当デザイナーが新人かどうかなんて関係ないので、先輩に「デザイナーとして名刺を交換した以上、お前はもうプロだからな」と言われていたのですが、なるほどと思うと同時に「プロって何だ?」とふと思ったんです。 僕はプロ野球が好きなので、プロ繋がりで当時好きだった野村克也監督の本を読んでみたら、プロ野球と草野球の違いについて「プロの選手は、ゴロの処理や球の打ち方といった細部に至るまで高い技術を持っている」「当たり前のことを当たり前に、きちんとやる」といった趣旨のことが書いてあって、これがプロなんだ!と感銘を受けたんですよね。
アーティスティックなアプローチが素晴らしいデザイナーはたくさんいますし、マネーフォワードにももちろんいます。でも僕自身はそういうタイプではなかったので、デザイナーとして生き残っていく方法を考えたとき、この「プロとして当たり前のことを当たり前にやる」考えに至ったのはきっかけとして大きいかもしれないですね。
デザインが重要なのは当たり前。共通言語として根付くカルチャー
―――マネーフォワードには様々なタイプのデザイナーさんがいらっしゃるのですね!では、酒井さんが実際に働いているからこそわかる魅力や特徴はなんだと思いますか?
酒井さん
1つはカルチャーです。マネーフォワードってMVVC(Mission Vision Values Culture) がすごくしっかり設計されていて、それを浸透させる仕組みもすごいんですよ。入社後に手厚いオンボーディングがあるのですが、その中でもカルチャーのパートは数時間かけてレクチャーするんです。MVVCにマッチするかどうかは採用における大きい判断基準の1つですし、例えばUser Focusというバリューがあることによって、デザイナー以外にもPdMやエンジニア含めた全員が日常的に「ユーザーのことを考えるとこうだよね」といった会話を自然とできるのは大きいと感じます。
同様にTech & Design(テクノロジーとデザインの力を最大限に生かしてユーザーに新しい価値を届ける)というバリューもあるのですが、施策を実施するにあたりまず「デザインの重要性を説く」ところから始めないといけない企業も多い中で、マネーフォワードではそのハードルを一段飛ばして「デザインで価値を出す」ことにいきなりコミットすることができます。僕が入社したいと思ったきっかけも実はそこにあって、僕が考えるデザインとマネーフォワードが考えるデザインに違和感がなかったというのが最終的な決め手になっています。
あまりに印象的だったので、実はオンボーディングのカリキュラムにあったグループCEO辻さんとの交流会で「何故デザインに力を入れようと思ったんですか」と質問してみたことがあります。すると辻さんは「だってデザインって大事じゃないですか」みたいな回答で……当時は「いや、なんで大事と思ったのかを聞いているんだけど」と思ったんですが(笑)、今思えば、好きなものをなぜ好きかと問われても上手く説明できないのと同じように、デザインを重視することがマネーフォワードにとって当たり前のことなんですよね。グループCDO(Chief Design Officer)の伊藤セルジオ大輔さん、グループVPoC(VP of Culture)の金井恵子さんと、ボードメンバーにデザイナーが2人いるのも大きいのかなと思います。
もう1つは、デザイナーが社内にたくさんいるところです。それぞれが色々なバックグラウンドを持っているので、ナレッジの共有が盛んです。僕は今デザイナーのメンタリングを初めて経験させてもらっているのですが、過去にメンタリングを経験しているメンバーはたくさんいて、彼らに経験談を聞かせてもらうことがよくあります。これに限らず、プロダクトデザインに関することでもそれぞれのメンバーが日々色々な課題に対峙しているので、自分が今困っていることが、隣のプロダクトでは既に解決済ということもよくあります。周囲にたくさんナレッジが転がっているような環境です。
ちなみに評価制度に関しては、CDOのセルジオ(伊藤セルジオ大輔)さんが設計した、社内のどのポジションよりも細かいデザイナー独自の評価基準があります。プロダクト関連の仕事についても、デザイン室の上長がPdMにヒアリングをした上で評価するので、デザイナーとしてのスキルをしっかり見てもらえる設計になっています。プロダクトチームが兼務扱いになっているのはそういった理由も含まれています。
―――なるほど……!仕事面での魅力だといかがですか?
酒井さん
toB向けプロダクトの面白さというのはあるかもしれないですね。toCの方が花形というか、ユーザー数が多いイメージがあると思うのですが、意外とtoBのバックオフィスシステムもユーザーは多いんです。バックオフィス向けということは自分もユーザーになり得るということですし、実はターゲットがすごく身近なんですよ。
あとtoBプロダクトは課題が明確でブレにくい傾向があるので、「この課題に向かってやっていこう」という合意形成が取りやすいですし、得られる成果もわかりやすいです。「これまで3日かかっていた作業が数時間で終わりました」みたいなお声をいただけると、やっぱりわかりやすいじゃないですか(笑)。単純に業務効率化に限った話ではなく、本当にやりたかった仕事に時間を割いていただくことでお客様の仕事の価値を上げられるような、そんなソリューションを生み出せるのはすごく良いなと思っています。
マッチするのは「小さな違和感に気づき、楽しんで解決できる人」
―――そんなマネーフォワードで活躍できそうな人はどんな人ですか?
酒井さん
先ほどのMVVCへ共感できることはまず大前提として、「問題解決を楽しめる人」「違和感に敏感な人」がマッチしやすいと思っています。僕の担当する連結会計のチームでも、もともと会計周りの仕事をしていたドメインエキスパート的なメンバーはたくさんいるんですが、彼らは大変な作業をすることが当たり前になってしまっているんですね。そこで僕たちデザイナーが第三者的に「この作業は何でやるんでしたっけ?」「それっておかしくないですか?」と入っていくことによって、ペインに気づくことがよくあります。こういうちょっとした違和感に気づけるかどうかが大切なのかなと思っています。
逆もまた然りです。ユーザーインタビューでどの業務が大変か、具体的にどのぐらい時間がかかっているのか……とヒアリングしていくと、たまに「週に10分ぐらいですね」みたいな答えが返ってくることがあって、「あれ?作業時間は思っていたほどではないな……?」みたいなことがあったりします。じゃあそこよりももっと重要そうな部分に注力しようという話になりますし、そこから新しい糸口が見つかることもあります。
―――ちょっとした気づきによって、方向転換することもあるんですね。
酒井さん
全然あります。時間とリソースは限られているので、なるべく大きいペインを解決できる方が良いですよね。
―――確かに……!それではこの先、新しい方を迎えてどのような組織になっていきたいですか?
酒井さん
当社のカルチャーの中に「Fun:仕事を楽しみ、成長を楽しみ、人生を楽しもう。」という言葉があるのですが、僕個人としては、大変なことも多い中でデザイナーとして出会った仲間意識は育てていけるといいなと思っています。デザイナー業界って狭いので、この先もし違う会社で働くことになったとしても、イベント等で会った際にまた繋がれるような絆を大事にする組織にしていきたいですね。
事業的な話だと、連結会計のプロダクトがまだ2年程の新しいプロダクトで、機能が拡充してきたので、これからさらにバリューアップできる機能を作っていきたいです。そのためにも、ユーザーはどういう状態が嬉しいのか、この機能があると何が良いのかといったポイントにしっかり目を向けながらやっていきたいです。
―――有難うございます!それでは最後に、応募を検討している方に向けて一言お願いします。
酒井さん
僕も入社前までは、マネーフォワードってデザイナー組織も大きいし、きっと完成された組織なんだろうなと思っていたんです。でも実際に入社してみると、良い意味で大企業ぽくないというか、組織化されすぎていない環境でした。プロダクトチームを兼業していることが良い方向に影響していて、それぞれのプロダクトチームが1つのスタートアップのようになっているんです。なので、外から見たイメージよりも解決すべき課題はまだたくさんあります。
またUser Focus、Tech & Designとバリューにあるように、デザインにコミットしてしっかり打ち込むこともできます。問題解決に楽しんで向き合いたい人には、すごく向いている会社じゃないかなと思います。
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この記事を書いた人


HIGH-FIVE編集部

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