【エンジニア・データ人材必見】HRDX・人事DX・HRTech業界とは?魅力とキャリアの可能性を職種別に解説
公開日:2025/02/13
変更日:2025/03/04

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デジタル化が進むビジネス環境において、HR(人事)分野にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せています。HRDXや人事DX、HRTechは、人事業務をテクノロジーで支援し、企業の人材管理やタレントマネジメントをより戦略的かつ効率的に行うための重要な取り組みです。この記事では、これらの分野でのキャリアの魅力と求められるスキルセットについて紹介し、求職者の皆様にとっての可能性を探ります。
目次
HRDX・人事DX・HRTechとは?
HRDX(Human Resource Digital Transformation)やHRTechは、人事業務にテクノロジーを導入し、データ活用やプロセスの自動化を進めることを指します。SmartHR、カオナビ、kintone、ジョブカン、HERP Hireなどに代表される多様なHRツールは、勤怠管理、給与計算、タレントマネジメント、採用支援といった従来の人事業務をシンプルかつ効果的に変革する役割を担っています。これにより企業は「ヒト」に関するデータを活用した戦略的な意思決定が可能になり、従業員のエンゲージメント向上やパフォーマンスの最適化を図ることができます。
「HRDX」「人事DX」「HRTech」には、以下のようにそれぞれ異なる焦点と役割があります。
HRDX:組織全体の戦略的なデジタル変革そのもの 人事DX:人事プロセスの効率化にデジタル技術を活用するアプローチ HRTech:HRDXや人事DXに必要なツール・プラットフォームといったテクノロジー |
1) HRDX(Human Resource Digital Transformation)
定義
「HRDX」とは、人事部門のデジタル変革全体を指します。人事業務のプロセスや従業員の働き方、組織全体の文化までを含む、広範な変革を目指しています。
特徴
HRDXでは、テクノロジー導入に限らず人事部門の戦略的な変革そのものに重点が置かれます。これにより「組織がデジタル環境での持続的成長を実現し、効率的かつ戦略的な人材管理を行うこと」をゴールとしています。
2) 人事DX
定義
「人事DX」はHRDXの一環として「デジタル技術の導入や効率化」に特化しており、特に日本で使われることが多い用語です。人事業務にデジタル技術を組み込むことに焦点を当てています。
特徴
主に採用・評価・労務管理・タレントマネジメントの分野で、デジタルツールやシステムを活用し、プロセスの効率化とデータ分析による意思決定支援を強化します。多くの企業がペーパーレス化や勤怠管理の自動化から始め、HRDX全体への移行を目指すことが多いです。
3) HRTech(Human Resource Technology)
定義
「HRTech」は、HR(人事)とTech(テクノロジー)の組み合わせで、人事分野におけるテクノロジーそのものを指します。
特徴
HR業務を効率化し、データに基づく人材戦略を実現することを主な目的としています。HRDXや人事DXの推進に欠かせないツールとプラットフォームを提供することがHRTechの役割です。AI、機械学習、クラウドコンピューティングなどのテクノロジーを活用し、労務管理、採用、評価、タレントマネジメントといった分野での業務を支援します。
HRDX・人事DX・HRTech分野におけるキャリアの魅力
HRDX分野では、テクノロジーを通じてビジネスと人事戦略を融合するスキルが求められます。従来の人事業務は労務管理や採用管理といった日常業務が中心でしたが、データ活用が可能になったことで、人材の分析・評価、将来的なパフォーマンス予測、リーダーシップ育成支援などより戦略的な分野にまで範囲が広がっています。これにより、HRDXやHRTech分野でのキャリアは次のような魅力が挙げられます。
1) 戦略的視点の獲得
HRDXやHRTechの分野では、ビジネス戦略と人事戦略の統合が重要視され、企業全体の成長を人材面から支援する役割を担います。この分野でキャリアを積むことで、経営層や事業部門と連携し、組織の方向性を左右するプロジェクトに貢献することができます。
2) データドリブンな意思決定力の養成
HRデータの分析を通じて、データドリブンな意思決定が可能です。従業員のエンゲージメントや離職予測、タレントマネジメントの成果をデータで把握し、人事戦略を効果的に進めるスキルが磨かれます。
3) 多様なバックグラウンドの活用
HRDXでは、コンサルティングファームやHR実務の経験者、ITエンジニア、データ分析の専門家など、多様なバックグラウンドを活かすことができます。自身の過去の経験がキャリアに反映されやすい分野と言えます。
HRDX・人事DX・HRTech分野に関連する業種
HRDX・人事DX・HRTech分野の企業は、それぞれ異なるキャリア背景や専門性を持った人材が集まることで独自の強みを発揮しています。
1) SIer(システムインテグレーター)
SIerは、企業に合わせたHRシステムの導入、インフラ設計、カスタマイズ開発などに強みを持ちます。中でも人事DX分野において、特定のHRテクノロジー(例:SAP SuccessFactors、Oracle HCM)を導入・構築し、既存システムと統合することで、効率的な人事業務のデジタル化をサポートしています。
SIerの出身者は、プロジェクト管理や技術力、複雑なシステム統合の知識が評価されるため、HRDX分野でもインフラ構築や技術的サポートの面で即戦力として活躍できる場が多いです。例えば、企業内のIT環境と連携したHRシステムの導入・保守に強い人材が求められています。
2) コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、HRDXにおける戦略策定やプロセス改善を主導します。企業の課題に合わせたデジタル人材戦略やタレントマネジメントの最適化を支援し、企業文化やビジネス目標と連携した人材戦略を立案するのが強みです。具体例として、PwCコンサルティング合同会社やデロイト トーマツ コンサルティング合同会社などの大手ファームは、グローバルな知見を活用し、先進的なHRテクノロジーを用いた人事変革を行っています。
コンサルティングファームの出身者は、経営層や部門リーダーとのコミュニケーションや戦略策定に優れているため、HRDXや人事DX分野においても重宝されます。特にプロジェクトマネジメントやデータ分析、ピープルアナリティクスに基づく提案力を持つ人材は、企業の変革推進において重要な役割を果たします。
3)SaaS(Software as a Service)
HRTech系のSaaS企業は、HRクラウドシステムを提供し、導入から運用支援までをワンストップでサポートします。勤怠管理、給与計算、タレントマネジメントといった特定の人事業務に特化したシステムを提供することが多く、特に中小企業に対する導入支援に力を入れていることが特徴です。具体例として、SmartHR、カオナビ、HERPなどが挙げられます。
SaaS企業の出身者は、プロダクトマネージャー、UIUXデザイナー、マーケターやエンジニアなどの他、カスタマーサクセスやテクニカルサポートとして活躍できます。クライアントニーズに応じたカスタマイズやシステム設定、顧客満足度を向上させるための継続的なフォローやサポート経験を持つため、顧客対応力の高い人材として評価されることも多いです。
4) 企業の人事部門
HRDX・人事DXを導入する際、現場の中心となる部門です。人事プロセスの効率化を目指し、HRシステムやデジタルツールを導入して、従業員の働きやすさや人材活用を最適化するための役割を担っています。特に、経理や総務と連携して組織全体の働き方改革をリードする企業も増えています。
人事部門の出身者は人事業務の実務に精通しているため、システム導入時の現場ニーズや課題に即した提案や運用が得意です。業務効率化や労務管理、採用プロセスの改善などに携わった経験が生かされ、HRDX推進チームや導入支援役として、現場感覚を活かした業務改善に貢献することができます。
HRDX・人事DX・HRTech分野の職種と必要スキル
1) HRDXコンサルタント
企業のHR戦略のデジタル変革をサポートします。ビジネス戦略とHRテクノロジーを統合し、タレントマネジメントのシステム化やHR業務の改革を推進する役割です。必要なスキルとしては、業務改革の知識、HRテクノロジーに関する知識、プロジェクトマネジメント能力、そしてビジネスコミュニケーション力が求められます。
2) データアナリスト(HR Analytics)
HRデータの分析および人材に関するインサイト提供により、人事施策の立案において重要な役割を担います。データに基づいてエンゲージメントの向上やタレントマネジメントの改善に貢献します。必要なスキルとしては、統計分析、TableauやPower BIといったビジネスインテリジェンス(BI)ツールの利用、データの可視化技術、データ分析に基づくレポート作成能力が挙げられます。
3) プロジェクトマネージャー
HRDXプロジェクトを計画・管理し、ステークホルダーとの調整や進行管理を担います。多くのHRテクノロジー導入プロジェクトは長期的かつ大規模であるため、効果的なプロジェクト運営と進行管理スキルが不可欠です。必要なスキルは、プロジェクト管理、タスク調整、ステークホルダー管理、リスクマネジメント能力などが挙げられます。
4) HRテクノロジーコンサルタント
SuccessFactorsやWorkdayなどのHRクラウドツールを用いてHRプラットフォームの構築をサポートします。特定のHRシステムに関する専門知識とカスタマイズ経験が必要です。必要なスキルとしては、HRクラウドシステムの知識、システム設定・カスタマイズ能力、クライアント対応力、技術サポート力が挙げられます。
5) 導入コンサルタント
HRシステムの導入計画からカスタマイズ、社内トレーニングまでをサポートします。導入企業のビジネスに沿ったシステム設定やデータ移行、初期設定を担当します。必要なスキルとしては、プロジェクト管理能力、システム設定・カスタマイズの知識、顧客対応力です。
6) カスタマーサクセスマネージャー(CSM)
顧客が導入したHRシステムを効果的に利用できるようモニタリングし、課題解決を支援します。必要なスキルとしては、コミュニケーション能力、システム運用に関する知識、データ分析の基礎、課題解決力が求められます。
7) テクニカルサポートエンジニア
API連携やシステムの技術的トラブル対応など、HRシステムの技術的なサポートを行います。必要なスキルは、システム管理、APIやデータベースの知識、技術的なトラブルシューティング能力です。
HRDX・人事DX・HRTech分野でITエンジニアが求められる理由
HRDX・人事DX・HRTech分野において、ITエンジニアは幅広いキャリアチェンジが可能です。その理由を以下にまとめます。
1) ITスキルがHRDXにおいて強みになる
HRDX・HRTech分野では、IT技術の理解がプロジェクトの成功に欠かせません。ITエンジニアが持つシステム開発やデータベース管理、API連携などのスキルは、HRシステムの設計や運用の際に非常に役立ちます。また、クラウド技術やインフラの知識を活かして、HRシステムの構築やITインフラとの統合をサポートする役割も担えるため、ITエンジニアの経験は即戦力として評価されます。
2) データ分析力とデジタルリテラシーが活かせる
ITエンジニアは、データ分析やBIツールの操作に慣れているケースが多く、HR分野でもデータドリブンな意思決定や戦略の策定に貢献できます。例えば、BIツールを用いたHRデータの可視化や、AIを活用したタレントマネジメントなどにおいて、データリテラシーの高いITエンジニアは非常に価値があります。
3) テクノロジーコンサルタントやPMOとしての可能性
HRDXの分野では、HRクラウドシステムの導入・設定・運用をサポートする役割が多く求められます。ITエンジニアはこれらのシステムの技術面を理解し、クライアントニーズに応じた設定やカスタマイズを行うテクノロジーコンサルタントとして活躍できる可能性が高いです。また、プロジェクト管理や要件定義が得意なエンジニアは、HRシステムの導入プロジェクトでPMO(プロジェクト管理オフィス)としての役割も期待されます。
4) セキュリティやデータプライバシーの知識が重宝される
HR分野では、個人情報保護法やGDPR(一般データ保護規則)への対応が重要視されており、セキュリティやデータプライバシーに関する知識が求められます。ITエンジニアは、システムのセキュリティ設計やコンプライアンス対応の経験を活かし、HRDXのプロジェクトにおいても機密情報を保護する役割を担うことができます。
HRDX・人事DX・HRTechにキャリアチェンジするには
HR業務の基本を学ぶ
労務管理や人材評価、採用プロセスなど、HRの基礎知識を習得することで、システムを利用する人事部門の視点が理解できるようになります。
特定のHRテクノロジーに関する知識を習得する
SuccessFactorsやWorkdayなど、HRDXでよく利用されるシステムの基礎を学び、導入や運用に必要な知識を身につけます。
データ分析の応用力を高める
BIツールやデータ分析手法をHR分野でどのように活用できるか理解し、特にHRデータに基づいた意思決定をサポートするスキルを磨きます。
HRDX・人事DX・HRTech分野への転職を考えている方へ
HRDXや人事DX、HRTechの分野は、デジタルと人事の融合によって生まれた新しい分野であり、急速な成長を遂げています。この分野では企業のビジネス戦略や人材戦略に直接関わることができ、デジタル化による新しい「働き方改革」を支える意義深い仕事です。特に、コンサルタントやデータアナリストは、企業の成長と従業員の働きやすさをデータとテクノロジーの力で支える重要な役割を担います。
特に、人事部門のデジタル化やHRシステムの導入は、企業全体のパフォーマンス向上に大きく寄与します。今後もHRテクノロジーを通じて、働きやすい職場づくりと経営戦略への貢献を実現する魅力的なキャリアパスとして、求職者にとって大きな可能性が広がっていると言えるでしょう。
この記事を書いた人


HIGH-FIVE編集部

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