テクノロジーを使った新しい仕組みで介護業界を変える。介護士オンラインマッチング「イチロウ」が挑むゲームチェンジ
公開日:2024/09/12
変更日:2024/10/09
「介護の新しい循環(めぐり)を作る」をミッションに、オンライン型ホームヘルプサービス・イチロウを展開するイチロウ株式会社。介護士だった代表が自身の祖父と同じ名前をつけたそのサービスは、10年以上現場に携わって感じた公的介護保険制度への危機感から生まれました。
2020年のローンチから順調に提供エリアを広げ、TVや新聞にも取り上げられるなど成長を続けるイチロウは、さらなる品質向上のためプロダクトオーナー、PdM、UIUXデザイナーの採用を開始。今回は代表の水野さんと、エンジニアリングマネージャーの中西さんにお話を伺いました。
■PROFILE ※敬称略
イチロウ株式会社 代表取締役:水野友喜(写真左)
専門学校にて介護福祉士を取得後、特別養護老人ホームへ就職。デイサービスの相談員、有料老人ホーム等の管理者を経て株式会社LINK(現イチロウ株式会社)を創業。
イチロウ株式会社 プロダクトチーム エンジニアリングマネージャー:中西晶大(写真右)
株式会社インターネットイニシアティブ→株式会社リブセンス→株式会社ビビッドガーデンを経て現職イチロウ株式会社へ。インフラエンジニアからエンジニアキャリアを始めEM、採用責任者、事業責任者、マネージャーへの教育支援を経験。弊社代表・水野の介護業界をより良くしたいという思いに共感しイチロウに入社。イチロウではEM、スクラムマスター、PO、採用責任者を担当。
目次
抜本的に新しい仕組みを作らないと、日本の介護はもたないと思った
――――まず、イチロウの事業概要について教えてください。
水野さん
私たちは、要介護者を抱えるご家族から依頼を受けて介護士を派遣する介護士オンラインマッチングのビジネスを展開しています。
イチロウについて詳しくご説明しますと、もともと介護士として働いていた私の原体験が大きく影響しています。現在の日本の介護保険制度では、保険内で介護士を呼ぶと1回あたり1時間のみ、9時〜18時の営業時間以外は使えないといった制限があり、早朝・夜間・深夜などはどうしてもご家族が頑張らなければなりません。介護士は制限がかかっている中で働いている一方で、依頼者であるご家族にとって本当に痒いところまでは手が届いていない。でも介護保険しか選択肢がないために、働く側も依頼する側もその制度に従うしかないという状態なんです。
そういう業界の事情に限界を感じていましたし、介護保険の存続そのものもかなり危機的な状況だと思っていたので、テクノロジーを軸とした抜本的に新しい仕組みを作らないと日本の介護がもたないと思って立ち上げたのがイチロウのサービスです。今最も根深い課題はなんだろうと考えたときに、訪問介護の領域が一番ニーズがありながら人手が足りず、依頼しても断られてしまう人がたくさんいるということで、ここにビジネスとして入っていこうと決めました。
特徴としては、オンライン上でマッチングして派遣するので間接コストを抑えることができ、その分依頼者にとってはリーズナブルな料金で、働く介護士には高時給をお支払いすることができます。介護保険という制度の外だからできるビジネスモデルです。
当社が保険外に特化することで、既存の保険制度とうまく組み合わせて在宅介護を成り立たせるための1つの選択肢としてサービスをご提供しています。
―――――ありがとうございます。おふたりが日々お仕事に込めている想いや大切にしていることはありますか?では、今度は中西さんからお願いします。
中西さん
はい。スクラムマスターとしてエンジニアのマネジメントと一部企画のプロダクトオーナーの役割も担っているのですが、マネージャーとしてで言うと、会社が目指している方向とチームや個人が目指したい方向が同じになるよう日々気をつけながら メンバーと向き合っています。
プロダクトに関してで言うと、我々の今の実情はマーケティングやセールスの力で売上を作っている側面が強いと思っています。 この先を考えた時に、プロダクトでしっかり売りが立っていくよう会社としてゲームチェンジしていかなくてはいけないと考えています。
もちろんマーケティングもセールスも大事ですが、「プロダクトが事業を啓蒙する」というか、プロダクトの力で事業が継続できるという状態をこれから1年2年かけて作っていきたいです。
水野さん
私個人で言うと、代表という立場上、私が社内でも社外でも発言したことは自分が思う以上に影響が大きいので、できる限り誠実に、平等に対応するということを意識しています。例えば入社時期や年齢関係なく全員に敬語で、できるだけ丁寧な言葉を使ってコミュニケーションを取っていくなどは大切にしていますね。それは私に限らず、社内全体がそういう雰囲気です。
イチロウに関していうと、ウォッシュ(取り組んでいるように見せているが実態が伴わない)にはなりたくないというのがあります。「私たちはソーシャルベンチャーです!」みたいな感じでよく言うんですが、「じゃあ実際どう社会に貢献できているんですか?」と問われた時に黙ってしまう企業にはなりたくないんです。
なので、事業成長と合わせてどう社会にインパクトを及ぼしているかをちゃんと定量的に測って、それを外に公開しながら、私たちが存在している意義をしっかり社会の方々にも見てもらいつつ成長していける環境を作っていくというのは、経営者として考えておきたいと思っています。
―――――なるほど……!将来的には、どのような姿を目指していらっしゃるのですか?
中西さん
シンプルに「事業成長」という言葉に集約されると思っていまして、しっかりと数字がついてくるサービスにしたいです。数字がついてくるということは影響の度合いが広がっているということで、それはつまり人を幸せにできている総量だと思いますし、我々がこういう業界でちゃんとポジションを取れているということ。ビジネスをしっかり伸ばしていくことが、結果として我々も、社会も、使ってくれる介護士や介護者の方も幸せになる「三方良し」に繋がっていくことなのかなと思います。
重視するのは業界経験よりも“人を助けようとする心”
―――――続いて、いよいよ今回の採用についてお伺いさせてください。現在はプロダクトオーナー 、PdMの2職種を募集されていますよね。
中西さん
はい。プロダクトオーナーとPdMについては、私がジョインして間もない半年前からずっと採用したいという話はしていました。というのも、専任のプロダクトオーナーが不在のままで、現状その役割を水野さんと私で分担しながら、言葉を選ばずにいうと片手間にこなしているというのが否めない状態で……その影響で、企画のスピードが開発のスピードに負けてしまうことが月に1回ぐらい起きてしまっているんです。
採用できたタイミングで徐々に私と水野さんからプロダクトオーナーの職責をどんどんはがしていって、プロダクトと事業戦略の接合や今後の成長の部分は全て一任するつもりです。
水野さん
もう我々から「権限」の二文字がなくなるくらい、徹底的に権限移譲したい気持ちで募集しています。(笑)
―――――(笑)!それは責任重大でやりがいがありそうです。具体的に求める人物像、活躍できそうな人材はどのような方ですか?
中西さん
受け身というよりは、自分から情報をしっかり取りに行けるタイプ。職種やチームの壁も気にせずに、「自分にはこの情報が足りないからこの人に聞きに行こう」といったように自然と取捨選択しながら組織の中を泳いでいけるような方がマッチするのかなと思っています。
水野さん
私たちのカルチャーとして「ハートワーク=人を助けようとする『利他の心』を判断基準にして行動すること」というものがあるんですが、そこはポイントとして見ています。
「利己的にならず、相手のことを尊重して行動や発言ができる」ということを私たちはすごく大事にしていて、むしろそれができる人しか採用していないので、 そういう方にとってはたぶんすごく働きやすいですし、自分の能力を発揮したり認められたりしやすい環境かなと思います。
―――――そうなんですね!ちなみに、採用サイトを拝見すると業界経験者が多いようにお見受けしたのですが、そのあたりはいかがですか?
水野さん
もちろん、身内に介護に関わる方がいらっしゃるなど、何かしら介護業界に課題があることを知って入ってきていただける方が多いですが、そういった経験がなくても問題はありません。
ただ介護だけではないにしても、社会的課題の解決に興味がある方はフィットしやすいと思います。その中でたまたま介護領域の私たちと出会って、介護の課題を解決したいと思っていただけるのは嬉しいですね。
―――――では、介護に関する専門知識は入ってから勉強しても問題ない?
水野さん
そうですね。私たちもSlackで面白い記事や役に立つ記事などよく共有していますし、私や事業責任者の細川はそれこそ介護業界出身の人間なので、面白い事例やみんなが知っておいた方がいい情報があると朝礼などで時間をとって説明することもあります。そういうところでもキャッチアップしてもらいやすいと思います。
―――――業界ニュースが自動的にキャッチアップできる状況なんですね。常に情報が流れてくる環境なら、確かに身につきやすそうです!
社会への影響度は常に定量で発信。外面だけのウォッシュにはなりたくない
―――――他社と比較した際のイチロウの強みや特徴は何だと思われますか?
水野さん
3つあって、1つは最初に少しお話しした「ウォッシュじゃない」という点です。会社として、メンバーがやっていることがチームに、グループに、会社に、ひいては社会に対してどう影響しているのかということを、できるだけ一気通貫で定量的に実感できるようにしています。社会的課題を解決したいと入ってきた方が「結局何をやってるのかよく分からない」みたいなことにならないように、自分の努力がちゃんと社会に活きているということを実感してもらえる仕組みを作りたいなと思っていて、実際に少しずつ動いてきています。
具体的な例としては、B corp(Benefit Corporation=社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証)という国際基準を、日本ではまだ取得企業が数十社かつほとんどが大手企業という中、スタートアップの私たちが取得しようと動いているのもその1つです。今はまだ審査中で、おそらく取得できるだろうというところまで来ているのですが、審査用の資料を提出する段階で「解決したい社会課題に対して世の中にどう影響しているか」という点はしっかりとアンケート等で調査しているので、そういった意味でも自分たちがやっていることが少しでも数字で見える機会になるのではと思います。
2つめは、ビアバッシュという月に1回みんなで集まる会があるんですけど、そこでイチロウを利用してくれたお客さんや働いている介護士の方から聞いた声を共有する場があります。特にプロダクトチームはエンドユーザーから距離が離れてしまいがちな領域なので、定期的に共有を受けられる仕組みを作っています。Slackでも昨日2、3件共有が飛び交っていて、そういった環境ができているのはすごく良いところかなと思います。
3つめはやはり「ハートワーク」ですね、人が良いのが自慢です。今日もちょうどこれから入社してくれそうな方とランチしてきたんですが、中西さんが「変な人がいないのは福利厚生だ」っていう話をしていて(笑)。
―――――(笑)!
水野さん
トラブルメーカーが一切いなくて、みんな気持ちよく働けますし、真面目な人が多く、仕事に対してちゃんと実直に向き合っている。心理的安全性も確保されながら、でもやるときはやるみたいな、良い部分を享受できるのが今のメンバーカルチャーにはあるなと。推しポイントという意味では、私的にはこれがいちばんかもしれませんね。
―――――実際に今おふたりにお話を伺っている中で、わちゃわちゃ盛り上がるところもありながら真面目なところはきっちりと締める雰囲気は、確かに伝わってきます……! 中西さんはいかがですか?
中西さん
私が実際に入社して感じた魅力は、「プロダクトやサービスに対する愛情がメンバー全員強い」ということです。かれこれ10年くらいスタートアップ界隈にいますが、 誰もプロダクトを心から愛していないチームに所属していた時期もあります。それが物足りなくて転職して今に至るという感じなんですが、イチロウは今までのキャリアでいちばんプロダクト愛が強い会社だと感じています。
周りの熱量が高いと、自分も引っ張られて視座が自然と上がっていくし、それだけでプラスのサイクルに入っていくことができます。それはすごく良い効果だと思うし、特にプロダクトやサービスへの愛、なんとかしたいと思う気持ちといったいわゆる1つのモメンタム(勢い)みたいなところが今の仕事は物足りないんだよな……と思っている人には、うちのような組織は良い刺激になると思います。
―――――そうだったのですね!ちなみに、中西さんはどういった部分で「イチロウならプロダクト愛をもって働けそう」と感じたのでしょうか?
中西さん
色々ありますが、決め手だったのは水野さんの存在ですね。私自身が水野さんを「推せる」と思ったんです。今までのキャリアでも経営層と一緒にお仕事する機会はありましたが、思想が合わなかったり、物事をロジカルに説明してくれなかったりと、ついていくのがしんどい人もやっぱりいたんです。でも水野さんと2~3時間かけて色んな話をした中で、プロダクトを開発するにあたって「成功しても失敗してもこの人ならストレートにフィードバックしてくれるし、自分も納得できる」と感じました。
「本物のソーシャルベンチャーを見せてやる」
―――――素敵なお話です……!では、そんな御社に新しいメンバーが実際にジョインしたら期待したいことはありますか?
中西さん
最初の1ヶ月で「いったんもうお互い話すことないよね」という状態まで持っていきたいですね。これから色んな職種も採用していく中で、まずは今回のポジションをしっかり立ち上げきりたい。私個人としてはもう時間の投下は惜しまないスタンスでいるので、向こうからしても「もういいです」となるくらい(笑)まずは話したいですし、1か月でそこまでいけたら理想だなと思います。
水野さん
私は(代表という)立場的なものもあったりしますが、できるだけそういうのは取っ払って、中西さんと私ぐらいの……私も中西さんから怒られたりしているので(笑)新しく入った方にもそれくらい権限を移譲して任せられる信頼関係を築いていきたいですね。
―――――有難うございます。では最後に、応募を検討している方に背中を押すメッセ―ジをお願いします。
中西さん
シンプルに、1回カジュアル面談に来てほしいです。本当にカジュアルに、なんならまだ転職する気が全くなくても、ちょっと興味があるぐらいで全然応募してもらって良いので、1回お話したいですね。
水野さん
私たちは、ビジネス的には難しいことをやっていると思っています。医療や介護って、国の方針などもあるので簡単には覆せない部分もあって、一気に爆伸びするようなことがなかなか起きにくい領域なので、色々苦戦していることも、まだまだうまくいかないこともたくさんあります。だからこそ、すごく大きなものを動かすという難易度の高さに対してのやりがい、本当の意味で社会のためになっているということを実感することができます。中途半端に外面のためにやっている会社とは違う、本気でやっているところを体感してもらえるんじゃないかなと思います。
―――――有難うございました!
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この記事を書いた人
HIGH-FIVE編集部
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